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循環器内科 診療内容・特色

 循環器内科の特色としてまず挙げられるのは、それぞれの医師が循環器領域の中でサブスペシャリティー分野を持ち、科全体としてそのバランスが非常にうまく取れていることです。循環器疾患には大きく分けて虚血、不整脈、心不全の3分野があり、多くの病院はいずれかの得意とする分野を中心にした診療を行っていますが、当科には循環器各分野の専門家がいてカンファレンスなどを通じて治療方針を決定するため、オールラウンドに対応できます。これは患者さんにとってメリットが大きいことはもちろん、循環器を幅広く学びたいという若い医師にとっても理想的な環境です。虚血性心疾患へのカテーテル治療、不整脈へのカテーテルアブレーション、心臓超音波検査、CTなどの画像診断、心不全、心臓リハビリテーション、睡眠時無呼吸、これらの各専門領域に精通した医師が揃っています。
 カンファレンスが数多く開催されており、まず毎日朝8時半から早朝カンファレンスを開催し、前日の予定外入院の患者、夜間の緊急入院の患者についてプレゼンテーションを行い治療方針を確認しています。また同じく毎日、夕方(カテ終了後)にカンファレンスを行い当日の心臓カテーテル検査・治療の画像を全員で供覧し症例の治療方針を検討しています。週一回、心臓血管外科との合同カンファレンスを開催し、外科との意見交換も活発におこなっています。
 また、当院はコメディカルスタッフも充実しており、20名以上いる臨床工学技士をはじめ、放射線技師、検査技師、看護スタッフもそれぞれが専門分野を追究しています。彼らの支えはチーム医療に大きく貢献しています。


大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術「TAVI」を開始しました

<TAVI実施施設として認定を取得>

 この度、天理よろづ相談所病院・循環器内科および心臓血管外科では、奈良県内で初めて、重症大動脈弁狭窄症患者さんを対象に行われる経カテーテル大動脈弁治療 (Transcatheter Aortic Valve Implantation、以下、TAVI)を開始しました。TAVIは、2013年10月より国内の臨床に導入され、経カテーテル的大動脈弁置換術関連学会協議会に認定された医療機関のみが施行可能な治療法です。当院は2014年5月27日、同協議会より奈良県初のTAVI実施施設として認定を取得しました。

当院におけるTAVI治療の様子
当院のおけるTAVI治療の様子

 

<大動脈弁狭窄症とは ~高齢者に多発、死亡率が高い~>

 大動脈弁狭窄症とは、心臓弁膜症の一種類で、大動脈弁が高齢化や動脈硬化などの原因で開きにくくなり、十分な血液が心臓から全身に送り出されなくなる病気です。重症になると胸痛や失神、安静時でも息切れがするといった症状が現れ、場合によっては突然死を引き起こすこともあります。無症状の経過期間が長い場合もありますが、大動脈弁置換術を受けなかった場合、症状が発現してから2年以内に約半数の患者さんが亡くなると言われています。


<約3割の患者さんは治療を諦めざるを得なかった>

 大動脈弁狭窄症は、薬による内科的治療では根治できず、胸を開いて人工弁に取り換える外科手術(外科的大動脈弁置換術)が、標準的な治療法です。しかし、心臓を止め、人工心肺に切り替えるなど体への負担が大きいため、高齢で体力が低下している、もしくは、その他の疾患などのリスクを持つ多くの患者さんには適用できません。約30%の重度大動脈弁狭窄症患者は外科手術を受けられず、治療を諦めざるを得ないと言われています。


<開胸せず、心臓を止めず、患者さんの体への負担を軽減する新たな治療法 ~TAVI~>

 TAVIは、外科手術が適用できない重症の大動脈弁狭窄症患者を対象にする治療法です。開胸することなく、心臓を止めずに、カテーテルを使い人工弁を心臓に留置します。低侵襲であることに加え、人工心肺を使用しなくてすむため、患者さんの身体への負担が少なく入院期間も短いことが特徴です。

TAVI治療のイメージ図
TAVI治療のイメージ図

 

<高齢化に伴い、患者数も増加>

 現在、国内における大動脈弁狭窄症を含む心臓弁膜症の潜在患者数は、推定200~300万人で、そのうち、大動脈弁狭窄症の患者さんは約50~100万人いると推定されています。65歳以上の高齢者人口が総人口の25%を超えている日本では、今後TAVIによる大動脈弁狭窄症の治療を必要とする患者さんが、さらに増加していくと考えられます。


<どのようなアプローチで治療するか?>

 TAVI には弁の留置経路として、基本的には2通りのアプローチがあります。足の大腿動脈から留置する最も低侵襲な、経大腿動脈アプローチが第一選択となりますが、小さい血管径や蛇行などから足の血管が適さない場合には、肋骨の間を小さく切開し、心臓の先端(心尖部)から弁を挿入する経心尖アプローチがあります。いずれの方法にも利点、欠点があるため、個々の患者さんに即した最善のアプローチ法の選択が大変重要になります。


<TAVI治療の適応患者さんとは?>

 重度の大動脈弁狭窄症に対する開胸による大動脈弁置換術には、長い歴史と安定した治療実績があり、大動脈弁狭窄症治療の標準的治療として全世界で施行されています。一方で、高齢や心臓以外の疾患などの理由により、心臓を止めて行う開胸手術には耐えられない以下のような患者さんは、これまで大動脈弁狭窄症の根治は望めず、薬で症状の進行を抑える対症療法しか選択肢がありませんでした。そのような患者さんにとって、開胸することなく、カテーテルで弁を留置するTAVIは、元気な日常生活を取り戻すための、新しい選択肢となります。

「TAVI適応症例」
 1.手術困難なご高齢の患者さん 
 2.過去にバイパス手術などの開胸手術の既往のある患者さん
 3.肝硬変などの肝疾患合併の患者さん
 4.肺気腫などの肺疾患合併の患者さん
 5.胸部の放射線治療の既往のある患者さん
 6.その他


<当院の治療体制について>

 TAVI治療は、循環器内科医(心臓カテーテル医、心エコー医)、心臓血管外科医、麻酔科医を中心に、その他コメディカル(看護師、放射線技師、臨床工学技士)、事務職員などがそれぞれの専門分野の知識や技術を持ち寄って、患者さんにとって最適と思われる治療法を選択し、治療を行う事で初めて可能になります。このTAVI治療を担うグループを「ハートチーム」と呼び、当院でも専門のハートチーム体制を整えています。また、TAVIは、ハイブリッド手術室(hybrid operation room; HOR)と呼ばれる、高機能の手術室において治療を行います。


<大動脈弁狭窄症の患者さんをご紹介いただく場合>

 大動脈弁狭窄症の患者さんがおられましたらご紹介いただければ幸甚です。しっかり検査・治療をさせていただきます。従来の外科的な弁置換手術とTAVI治療の適応の有無を慎重に検討し、「ハートチーム」一丸となって最良の医療を提供する所存です。循環器内科の外来に紹介状持参のうえで御紹介ください。

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