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在宅世話取りセンター
在宅世話どりセンター 研修終了者の声

天理よろづ相談所病院 在宅世話どりセンターでの研修を終えて

池島 英之
研修期間:2014年4月1日〜2015年3月31日

① 天理よろづ相談所病院(以下、当院)の在宅研修を希望した訳

 私が在宅研修を希望した背景にはいろいろな偶然とタイミングの一致がありました。もともと循環器内科医として和歌山県の新宮市で勤務しておりました。カテーテル治療や心不全治療に全力を注いでいましたが、重度の慢性心不全患者さんが自分の外来に定期通院されており、通院が大変でと話されるのをよく聞いておりました。特に通院が心負荷となり、心不全の増悪因子になっている患者さんもいるという印象を受けておりました。

 通院しないで納得した医療を受けていただける方法が無いかを考えたところ、在宅医療の存在を知りました。在宅医療を知るにつれて、その魅力や医療としての面白さを感じ、自分が生涯を通して行いたいと思える医療がそこにあると感じました。

 しっかりとしたスキルや診療方法など循環器の急性期医療とは領域も方法論も異なっており、実践するには研修と実習が必要だと考えました。また、在宅医療を行うにあたり、その地域で看取りまで継続して診療ができることが重要な点であり、最終的に働いていく場所も考える必要がありました。私は奈良県の王寺町の出身であり、地元に帰って医療を行いたいという希望があったものですから、研修先はできれば奈良県でと考えました。

 日本在宅医学会が専門医研修を受け付けていることは知っており、思い立った当初、日本在宅医学会のホームページで研修先を探しましたが、奈良県での募集がなく、大阪か東京の有名な在宅専門診療所での研修をすることを考え、医院見学にも行きました。思案していたところ、8月頃にホームページ上に当院の在宅医療専門医研修の募集が載りました。奈良県出身ですので、天理よろづ相談所病院が素晴らしい病院であることは承知しており、すぐに連絡を取らせて頂いて研修することになったわけです。

 天理よろづ相談所病院の在宅世話どりセンターは以前からずっと続けられていた在宅医療専門部門であり、歴史があり、確立された部門であること。また、センター長の中村先生の気さくな話しやすい人柄をみて、研修先としてお願いしようと決めました。中村先生が新宮出身であったことや、私が在宅医療をしたいと思ったタイミングで研修の募集が出たことと何か運命的なものを感じたことも後押しになったかもしれません。

 

② 研修を終えた感想

 研修当初、在宅医療は医師の診療能力に直結する医療であると思っており、研修初期の段階ではどのように診療していけばよいのか悩みました。十分な診察情報を得ることが思った以上に難しく感じ、十分にできないまま時間を持て余す感覚も感じることがありました。循環器診療のみを行っていたことで視野が狭くなっていたのかと焦る気持ちとなって押し寄せてきました。しかし、そうではなく、在宅医療では医学的な診療だけではなく、いかに患者さん、家族の要望や期待を汲み取り、実践していくかが重要なスキルであり、習得すべきことであるということを指導医の先生の診療をみて実感するようになりました。

 指導医の先生が2人いて、2対1で指導を受けられるような研修は他にはなく、贅沢な指導を受けられたと思います。カンファレンスでの情報共有だけでなく、その都度診療内容などを共有することで、診療方針を一連で捉えることができ、多くの診療を自分の糧とすることができました。本研修で在宅医療のマインドや、考え方など総論から各論まで勉強させていただきました。

 また、本研修を通じて訪問看護師さん達の存在は在宅医療には不可欠であることを実感し、共に訪問し、共に話し、共に休憩し、仕事を共にすることで、一体感のある医療が提供できているのではないかと感じました。簡単にいうと楽しく過ごさせていただいたということが本研修の充実感につながり、さらには良き診療につながっているのだろうと思います。

 私は、在宅世話どりセンターの勤務に加え、白川分院(回復期リハビリテーション病棟、療養病棟)での勤務も兼任しておりました。白川分院では郡義明院長(当時)をはじめ、多くのスペシャリストの先生にご指導を頂きました。この経験も、この1年間が実りの多い期間であったと実感できた大きな要因の1つであったと感じています。

 この1年間で実に多くの学びを経験しました。初めての体験もいろいろあり、研修医時代の充実した気持ちを再度経験したような心地でした。この研修中には自分の予想していたものの数倍多くを学び、1年間とは思えないくらいに濃厚な研修となりました。感謝しております。

在宅世話どりセンターのスタッフとともに(前席中央が私)

 

③ 当院在宅研修の特徴

 他の在宅研修を受けたわけではないのですが、研修を通じて感じたメリットを以下に列挙してみます。


  • 在宅医療を指導できる医師が2人いること。
  • 指導医と同行訪問し、実際に手本を見ながら診療できること。
  • 褥瘡治療に自信が持てるようになること。
  • 医療依存度の高い患者さんの訪問診療が主であること。
  • 私が白川分院と兼務していたように、(不在時の対応などサポートは必要だが)他部門とも兼務できること。
  • ポートフォリオ作成などの時間が比較的持てること。
  • 地域の診療所とのつながりができること。
  • 時間に融通がきくこと。
  • 1年間の研修で在宅医療専門医試験を受けることができること。
  • 介護保険に詳しくなれること。何より働いていて楽しいこと。
  • 何より働いていて楽しいこと。

カンファレンスにて指導医達(中央、右)と

 

④ 当院在宅研修の改善点

 改善点はあまりないのですが、デメリットを挙げてみます。

  • 部署の部屋の広さ。少し手狭。
    (在宅世話どりセンターは2016年12月に本館南病棟正面玄関付近に移転しており、現在は十分な広さとなっております。)
  • 自宅への訪問が主であり、施設系への訪問が圧倒的に少ないこと。
  • 天理よろづ相談所病院からの訪問診療であり、個人の医師の信頼感だけでなく、病院にかかっているという安心感があるため、スキルが低くとも安心感を与えられているかもしれない。このことは診療スキルを習得するという点では不利である可能性がある。

 

⑤ これから在宅医療研修を考える方(後期研修医、各診療科専門医取得者)へのアドバイス

 在宅医療でのものの考え方、診療態度を病棟内でも当てはめて実践することは患者−医師関係、患者家族−医師関係を良好に保つ方法の一つであると思いますし、習得すべきスキルであると思います。在宅を見据えた治療ができるかが今後の医療の焦点であることを考えると、必須の研修であるといえます。

 これから在宅医療は、必須となる医療技術であると思いますが、診療所が中心で行っているのが一般的で、研修を受けるには病院を一旦やめて受けなければなりません。当センターは病院に勤務しながら在宅医療を学べる数少ない病院の一つであると思います。急性期医療もしながら在宅医療も勉強したいと考える先生にとっても、重要な選択肢となるのではないでしょうか。

訪問終了後に在宅医療専門医取得に向けてポートフォリオを作成

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