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令和5年度(2023年度) 天理よろづ相談所病院 病院指標

 

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
  8. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  9. 血液培養2セット実施率
  10. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率

 

 

年齢階級別退院患者数

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 672 165 220 302 572 1,293 2,256 5,160 3,417 503

 

 2022年度に当院を退院された患者さんを、10歳刻みの年齢階級別に集計したものです。
 60歳以降の年代の方が多く、全体の7割を占めています。この年代の方々は複数の疾患を持っておられたり、重症化しやすいといった特徴があります。

 

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040100xxxxx00x 喘息-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 104 6.25 6.37 0.96% 2.88
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(2500g以上)-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 64 5.42 6.07 1.56% 0.00
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他)-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 54 5.67 5.96 0.00% 2.19
080270xxxx1xxx 食物アレルギー-手術なし-処置1:あり-処置2:0-副病:0-0 44 1.00 2.12 0.00% 3.09
010230xx99x00x てんかん-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 35 4.11 7.20 0.00% 8.09

 

 当院小児科は、「子どもの総合医」として一般小児科診療を主体に、アレルギー疾患、免疫疾患、神経疾患、遺伝疾患、代謝内分泌疾患などの専門診療を行っております。一般小児科診療においては、対象となる疾患の大部分は気道感染症や気管支喘息発作です。上気道炎(いわゆる風邪)は軽症であることが多く外来診療で対応可能であることが多いですが、数は多く時に入院が必要な方もおられます。

 一方肺炎や気管支炎、細気管支炎といった下気道炎/下気道感染においては、感染・炎症が重篤化したり呼吸障害を来すことも多く、高頻度で入院が必要となります。また、気管支喘息発作も多くは気道感染を契機とし、呼吸障害を来して入院します。中には下気道感染症と合併したり、両者の区別が困難な患者さんもおられます。このような状況を反映し、常に当科入院患者の上位が、上・下気道感染および気管支喘息で占められています。

 院内で出生した新生児のうち集中治療を要さない疾患に対しては当院で治療を行なっており、常に一定数の入院があります。また当院小児科では現在、常勤の小児アレルギー専門医と小児神経専門医により、入院による食物アレルギー負荷検査や神経疾患の専門検査・治療を積極的に行なっています。このため食物アレルギーやてんかんを主病名とする入院が増えてきています。

 当院は開院以来50年以上に渡り⼩児循環器疾患の診療に当たっており、近年は小児循環器科、心臓血管外科、循環器内科に所属する医師が参加する「先天性心疾患センター」を設置し、成人期の先天性心疾患を持つ患者さんに対し、一貫性のある治療戦略、地域連携の強化などを心がけつつ、診療に当たっております。このような流れもあり、先天性心疾患で通院される当院の患者さんには、成人の方が多くなっております。こうした患者さんの中には,手術等の治療によりほぼ「根治」の状態にある方もおられますが、様々な問題の遺残を抱える方も多く,そうした方は年齢とともに心不全、不整脈、弁膜症、肺高血圧他の循環動態の問題が顕在化してきます。中には再手術が必要となり、術前評価の諸検査が必要な方もおられます。現在小児循環器科医は非常勤のみとなっているため、小児患者の入院は少なく、成⼈患者さんの状態悪化や検査による入院が主となっています。

 

 

消化器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)-ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 118 4.96 4.55 0.00% 71.63
060335xx02000x 胆嚢炎等-腹腔鏡下胆嚢摘出術等-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし-0 69 8.81 6.87 2.90% 67.65
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等-処置1:なし-処置2:0-副病:なし-0 68 15.93 15.12 2.94% 75.35
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍-胃切除術 悪性腫瘍手術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 63 21.35 18.01 1.59% 72.27
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など)-腹腔鏡下胆嚢摘出術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 59 6.70 5.98 0.00% 65.12

 

 鼠径とは、足のつけね(鼠径部)のこと、「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態を示しており、鼠径ヘルニアとはいわゆる脱腸のことであります。

 鼠径ヘルニアを放置すると時に腸がはまりこんで抜けない状況になることがあり、腸閉塞や腸管虚血壊死に至ってしまうことがあります。鼠径ヘルニアと診断された場合、放置して治ることはありませんので、手術をお勧めします。手術ではヘルニア嚢を処理し、弱くなった腹壁の筋膜をメッシュと呼ばれる人口補強材で補強しますが、従来の前方からの修復法に加え、腹腔鏡を用いた手術方法も多く行っております。

 胆嚢結石症は、胆石発作や胆管炎などを起こした場合、手術適応となり、精査の後、待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。また急激な腹痛で急性胆嚢炎と診断された場合には、炎症早期に緊急手術を行う方針としております。胆嚢摘出術は多くの場合、腹腔鏡で切除に向かいますが、腹腔内の癒着が高度である場合や、炎症が強く、大事な構造物が存在する肝門部の剥離操作が困難な場合には開腹手術に移行することがあります。

 結腸癌・直腸癌を含めた大腸癌は早期癌・進行癌ともに年々増加しています。当院では毎週内科・外科でカンファレンスを行い、大腸癌治療のガイドラインに基づいて適切な治療方針を決めています。進行癌や内科的治療の適応外と判断された場合は手術を行います。基本的には腹腔鏡で手術を行っていますが、最近はロボット支援下に行う手術も増えております。腸閉塞症状をおこした進行癌の場合は緊急で開腹手術を行うこともあります。

 胃癌は、大腸癌と同様に、毎週内科・外科で行う合同カンファレンスで、胃癌治療のガイドラインに基づいて適切な治療方針を決めています。切除は腹腔鏡を用いた手術を基本としていますが、大腸癌同様、最近はロボットを用いた手術が増えております。一方、膵浸潤や十二指腸浸潤があるような高度進行症例では開腹で手術を行い、時に拡大手術を行うことがあります。

 

 

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 53 17.25 19.55 90.57% 69.85
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部-脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等-処置1:なし-処置2:0-副病:0-0 30 22.10 19.32 13.33% 69.67
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折-人工骨頭挿入術 肩、股等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 30 22.43 25.50 76.67% 78.77
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎-その他の手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 25 19.16 15.66 16.00% 72.72
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 24 16.79 21.96 95.83% 74.25

 

 整形外科では頚椎症、腰部脊柱管狭窄症などの脊椎疾患、股関節・膝関節疾患、高齢者の大腿骨・股関節骨折に対する手術を中心とした診療を行っております。手術後は早期にリハビリテーション施設への転院をはかり、在院日数を短縮して多くの患者さんに対応できるようにしています。

 

 

形成外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020230xx97x0xx 眼瞼下垂-手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 23 3.30 2.82 0.00% 76.65
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。)-その他の手術あり-処置1:なし-処置2:0-副病:0-0 11 4.36 4.28 0.00% 40.91
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)-皮膚悪性腫瘍切除術等-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 7.22
020320xx97xxxx 眼瞼、涙器、眼窩の疾患-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 3.17
160200xx02000x 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。)-鼻骨骨折整復固定術等-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし-0 4.63

 

  1. 加齢による眼瞼下垂症に対する手術は2種類あります。一つは余剰皮膚切除で、重瞼部または眉毛下の皮膚切除を行います。もう一つは挙筋前転術で、重瞼部の皮膚切除に加えて、挙筋腱膜を剥離・前転して瞼板に縫合固定します。基本的には入院となりますが、日帰り手術も可能です。
  2. 良性軟部腫瘍で多いのは脂肪腫です。大きくなってから受診されることが多いので、入院手術となる場合が多いですが、小さいものは日帰り手術も可能です。
  3.  皮膚悪性腫瘍で多いのは、基底細胞癌と有棘細胞癌です。大きい腫瘍や発生部位が眼瞼や鼻の場合は、切除によって生じた欠損部の再建手術が必要となります。
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  5. 眼瞼疾患では、小児の睫毛内反症、高齢者の下眼瞼内反症が多いです。小児の場合は全身麻酔下での手術となります。高齢者の場合は局所麻酔下で手術可能です。
  6. 顔面骨骨折では、鼻骨骨折、頬骨骨折、眼窩壁骨折が多いです。CT検査で骨偏位が大きい場合や、眼球症状が強い場合に手術を行います。多くの場合、全身麻酔下での手術が必要です。

 なお当科では自費での美容外科診療は行っておりません。

 

 

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満)-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし-0 59 28.36 19.09 19.09 66.10% 70.75
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷-その他の手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 58 7.67 9.88 15.52% 78.16
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上)-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 31 28.13 22.61 74.19% 74.23
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤-手術なし-処置1:あり-処置2:なし-副病:0-0 27 2.15 2.95 0.00% 68.07
010070xx9910xx 脳血管障害-手術なし-処置1:あり-処置2:なし-副病:0-0 24 2.42 3.12 0.00% 72.71

 

 脳神経外科で取り扱う疾患には、くも膜下出血、脳梗塞、脳内出血に代表される脳血管障害や、脳腫瘍、頭部外傷、脊髄疾患、さらには、癲癇、顔面けいれん、末梢神経障害などの機能脳神経疾患があります。近年、急性期脳梗塞に対するrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法、脳血栓回収療法が確立し、その適応が拡大しています。これまで点滴加療しか行えなかった患者様に対し、積極的な再灌流療法を行うことで、良好な予後が得られる症例が増加しています。

 当院では一次脳卒中センターコア施設の認定を受け、救急車の受け入れを積極的に行っていることもあり、脳血管障害の割合が最も多くなっています。

 頻度順4位の脳動脈瘤は、くも膜下出血の原因となる疾患です。一旦出血してしまうと予後が悪いことが分かっており、動脈瘤が大きい、不整、お元気な方には予防治療をお勧めしています。開頭顕微鏡下手術(脳動脈瘤頚部クリッピング術)と脳血管内手術(コイル塞栓術)を、症例に応じて選択し、最適な治療を目指しています。

 頻度順1、3位の非外傷性頭蓋内血腫(脳出血)には、血圧管理や脳保護薬の投与を行い、早期からリハビリ加療を開始して、機能予後の改善を目指します。

 頻度順5位は、多くが脳梗塞ですが、超急性期におけるrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法、血栓回収療法の症例が増加しています。入院後は脳保護薬や抗血栓薬の投与、リハビリ加療を行います。また、再発を予防するため、脳血管評価とともに、脳卒中危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病など)の是正に努めます。脳主幹動脈の狭窄・閉塞が見つかれば、適応に応じて、経皮的頚動脈ステント留置術、頚動脈内膜剥離術、バイパス術をお勧めします。

 

 

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍-その他の手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 171 8.39 9.89 0.00% 72.15
040200xx01x00x 気胸-肺切除術等-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 12 7.50 9.54 0.00% 41.00
040020xx97xxxx 縦隔の良性腫瘍-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 7.59
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:0-0 13.59
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:4あり-副病:なし-0 8.33

 

 呼吸器外科ではDPC分類の最も多い症例は肺悪性腫瘍の手術となっています。肺悪性腫瘍のうち、原発性肺癌手術に関しては、術前検査にて進行度を見極めた上で、病期Ⅰ、Ⅱ期を絶対的適応としますが、縦隔リンパ節転移陽性等のⅢ期進行肺癌症例に対しては、呼吸器内科、放射線科とも連携して、化学療法や放射線療法を併用した集学的治療も行っています。転移性肺腫瘍に関しては、原則として原発病巣がコントロールされ、かつ他臓器に転移がなく、肺転移病巣が数箇所以内で完全切除が可能な場合に手術を行います。切除方法は部分切除が原則です。

 2番目に多い症例は気胸です。気胸とは肺の表面に穴が開いて、肺が縮んでしまう病気です。肺に基礎疾患を有していない特発性気胸と、基礎疾患を有する続発性気胸に分類されます。原則的に安静や脱気・ドレナージ治療後の再発症例を対象に手術を行っていますが、両側同時発症や反対側の気胸の既往がある場合などは、初回発症でも手術を行います。殆どの症例で小切開による胸腔鏡下手術が行われています。

 3番目に多い症例は縦隔良性腫瘍です。神経原性腫瘍を代表とする充実性腫瘍や胸腺嚢胞、気管支原生嚢胞などの嚢胞性腫瘍の手術を行っています。

 4番目に多い症例は肺の悪性腫瘍で手術や化学療法などの積極的治療を行わずに加療を行う症例です。終末期の緩和治療も含みます。

 5番目に多い症例は肺癌術前の導入化学療法、肺癌術後の補助化学療法もしくは再発に対する化学療法です。化学療法は呼吸器内科医が主に行っていますが、症例により呼吸器外科医も同様に行っています。

 

 

心臓血管外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050161xx97x1xx 大動脈解離-その他の手術あり-処置1:0-処置2:1あり-副病:0-0 50 27.58 28.09 20.00% 69.22
050163xx02x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等-処置1:0-処置2:1あり-副病:0-0 38 19.47 19.20 5.26% 75.32
050163xx03x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-ステントグラフト内挿術-処置1:0-処置2:1あり-副病:0-0 37 13.81 14.70 13.51% 78.76
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。)-ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等-処置1:なし-処置2:1あり-副病:0-0 32 20.47 21.53 3.13% 65.19
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等-処置1:0-処置2:1あり-副病:0-0 21 23.95 27.58 19.05% 75.62

 

 ⼼臓血管外科においてDPC分類の最も多い症例とその次に多い症例、さらに5番目に多い症例は全て非破裂性大動脈瘤の患者さんでした。また第4番目に多い治療も大動脈解離でした。

 2022年秋より奈良県内で唯一の大動脈センターを開設しており、大動脈疾患が増加傾向にあります。治療法として人工血管置換術が多く、次いでステントグラフト内挿術が続きました。基本的には確実な人工血管置換術を行いますが、開胸や開腹手術が困難な患者さんに対しては、低侵襲であるステントグラフト内挿術を行っています。大動脈解離疾患のうち、急性大動脈解離は緊急手術を必要としますが、当院では心臓血管外科独自のホットラインを確立しており、他病院、救急隊員からの直接の受け入れ依頼に対して断ることなく受け入れが可能な体制にあることが手術件数の増加につながっていると推察されます。

 3番目に多い治療は弁膜症でした。高齢者を中心として手術治療を必要とする弁膜症症例は増加傾向にありますが、近年は若年患者さんも受診されるようになりました。これは低侵襲である胸腔鏡補助下での小開胸手術を行っているためと推察されます。

 

 

産婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍-卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 40 6.18 6.00 0.00% 46.80
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍-子宮悪性腫瘍手術等-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 34 11.00 10.10 2.94% 60.29
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍-腹腔鏡下腟式子宮全摘術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 29 5.62 5.93 0.00% 43.21
120220xx01xxxx 女性性器のポリープ-子宮全摘術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 27 2.93 2.78 0.00% 48.74
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍-手術なし-処置1:0-処置2:4あり-副病:なし-0 23 4.35 4.18 0.00% 61.35

 

 当科では婦人科における良性腫瘍、悪性腫瘍の治療ならびに産科における分娩を行なっています。婦人科良性腫瘍では、ロボット支援下手術を始めとした低侵襲な腹腔鏡下手術を積極的に取り入れています。悪性腫瘍においても、初期子宮体癌ではロボット支援下の腹腔鏡下手術を積極的に取り入れています。悪性腫瘍の治療では、手術の他に抗がん剤や分子標的薬を用いる化学療法を積極的に行なっており、治療薬の種類や患者さんのご希望に応じて外来または入院しての化学療法を選択して頂いております。

 

 

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-片眼 461 3.09 2.54 0.22% 74.49
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-両眼 416 4.87 4.46 0.24% 76.45
020160xx97xxx0 網膜剥離-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-片眼 142 10.10 7.81 0.00% 59.69
020220xx97xxx0 緑内障-その他の手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-片眼 76 8.15 4.82 0.00% 70.55
020200xx9710xx 黄斑、後極変性-手術あり-処置1:あり-処置2:なし-副病:0-0 68 7.60 5.67 0.00% 67.97

 

 当科では手術を目的として来院される事が多く、白内障手術の相談に来院される事が多くなっています。日常生活に不自由を感じた時点で手術を行う事が、望ましいと考えています。白内障手術は日帰りおよび入院で手術を行っています。

 失明原因の第一である緑内障を多く診断、治療を行なっているのが当科の特徴です。点眼による通院治療では十分に視野の進行を止められなくなった症例に対しては、手術療法を行っています。

 黄斑前膜、黄斑円孔、黄斑分離症などの黄斑疾患に対して積極的に診断治療を行っています。最新のOCTやHRAなどの機器を揃えて的確な診断治療を目指しています。極小切開で行う手術法(MIVS)で術後の早期退院や視力回復を目指しています。緊急性のある網膜剥離に対しては積極的に受け入れて、緊急手術を行っています。

 

 

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 66 7.02 6.75 0.00% 63.08
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 58 8.35 6.02 0.00% 59.62
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍-甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの)等-処置1:なし-処置2:0-副病:0-0 45 8.44 7.94 0.00% 59.80
100130xx97x0xx 甲状腺の良性結節-手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 41 7.29 7.00 0.00% 63.17
03001xxx0200xx 頭頸部悪性腫瘍-頸部悪性腫瘍手術等-処置1:なし-処置2:なし-副病:0-0 34 12.82 12.84 2.94% 69.06

 

 耳鼻咽喉科・頭頸部外科でのDPC分類の多い疾患は、1位は耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍、2位は慢性副鼻腔炎、3位は甲状腺の悪性腫瘍、4位は甲状腺の良性結節、5位は頭頸部悪性腫瘍、となっていました。奈良県全般および三重県伊賀地方の耳鼻咽喉科・頭頸部外科内の基幹病院として病院・診療所からの信頼も厚く、多くの入院手術治療を行っています。

 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍は耳鼻咽喉科・頭頸部外科の領域に発生した良性腫瘍に対する治療であり、5位の頭頸部悪性腫瘍と併せて年間100例の入院加療を行っています。この領域の腫瘍は良性であっても悪性化することがあり、大部分は手術加療が必要です。その中でも大唾液腺である耳下腺、顎下腺から発生する耳下腺腫瘍、顎下腺腫瘍に対する切除術を当院では多く手掛けております。術前検査としてCTやエコーなどの画像診断と細胞診を行います。唾液腺腫瘍ではこのような検査をしっかり行っても悪性と診断できないことがあること、良性であっても巨大化したり数年後に悪性化するタイプも多いことから、唾液腺腫瘍では多くの場合手術治療を勧めています。耳下腺にできた腫瘍の場合、顔の表情を作る神経が線内を走行しているため耳の前から頸部にかけて大きく皮膚切開するのが一般的ですが、当科では大部分の症例で耳の後ろから少し頸部にかかる皮膚切開を行っており、手術時間も短く傷もきれいに治り、かつ安全で合併症の少ない手術を行っています。

 また、頭頸部の悪性腫瘍、つまり頭頸部癌については地域がん診療連携拠点病院として、そして日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医指定研修施設として専門性が高いだけでなく、患者の視点に立った医療を提供しています。頭頸部悪性腫瘍は、治すとともに機能温存や外観の維持も重要です。一般に手術治療では多少なりとも機能障害が出現します。一方放射線治療が中心となる治療でも粘膜の障害から唾液減少や疼痛、嚥下障害などの障害が残ることもあります。当院では通常の手術に加え、欠損した組織の再建を伴う拡大手術、化学療法(抗癌薬)を併用した放射線治療を中心に、癌を治すことはもちろん治療後の生活も考慮した最善の治療を行っています。さらに最新のロボット手術や光免疫療法、分子標的薬治療なども可能となっています。癌の生じた部位や進行度を勘案して耳鼻咽喉科・頭頸部外科内での検討はもちろん、放射線科や形成外科とも連携を取って検討会を行った上で治療方針を決定しています。

 慢性副鼻腔炎は頬部、目の間、額の奥にある副鼻腔とよばれる空洞(上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞)に慢性の炎症を来す疾患です。症状は鼻汁(特に膿性鼻汁)、鼻閉、顔面や眼周囲の痛み・違和感などです。重症化すると、視力低下や複視といった眼の症状や頭痛なども起こります。軽症例などは投薬や鼻副鼻腔処置による保存治療で改善しますが、保存治療で改善しない場合や重症例では手術(内視鏡下鼻副鼻腔手術)による治療が必要となります。手術は基本的に鼻腔内から内視鏡下に操作し、術中ナビゲーションCTを用いることで安全に行います。

 甲状腺の悪性腫瘍(甲状腺癌)や良性腫瘍(良性結節)については、当科では専門性の高い治療を行っております。腫瘍が大きくなったり頸部リンパ節に転移したりして初めて前頸部や側頸部にしこりを触れて受診する方もいますが、検診などで小さい腫瘍が指摘されて紹介受診される方も多くおられます。術前に頸部エコー・CT・エコーガイド下穿刺吸引細胞診などで正確に良性か悪性か、悪性であればその病期を診断し、最小限かつ必要な範囲の切除にとどめ機能障害の軽減を目指しており、良好な治療成績を得ております。良性や小さな腫瘍に対しては体への負担を減らすべく、核出術や小切開手術などにも取り組んでいます。

 

 

放射線科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx97x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-その他の手術あり-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 12 5.50 7.19 0.00% 80.75
050200xx97xxxx 循環器疾患(その他)-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 10 5.50 9.52 0.00% 72.40
050163xx03x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-ステントグラフト内挿術-処置1:0-処置2:1あり-副病:0-0 14.70/td>
050170xx03001x 閉塞性動脈疾患-動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等-処置1:なし、1あり-処置2:なし-副病:あり-0 9.00
14031xx004x0xx 先天性心疾患(動脈管開存症、心房中隔欠損症を除く。)(1歳以上)-経皮的肺動脈形成術等-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 5.99

 

 放射線治療科は、他の診療科と共に幅広い疾患を診療する科で、特定の臓器・疾患を担当する科ではありません。放射線治療の必要な患者は、放射線治療科が直接患者のご紹介を受けているわけではなく、それぞれの疾患の主科にご紹介頂き、そこで改めて治療適応を判断して当科にご紹介頂くシステムとなっております。

 また放射線科(IVR部門)では、カテーテル治療に代表される侵襲の少ない治療も多数行っていますが、やはり通常は各内科や外科からの紹介患者を中心に治療に当たっています。特に大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術や術前、術後の追加処置の症例数は多く、当科における代表的なIVR部⾨の対象疾患となっていますが、患者紹介に関しましては⼼臓⾎管外科が窓⼝となっております。

 

 

脳神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010160xx99x00x パーキンソン病-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 68 10.43 18.24 10.29% 72.97
010060×2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)-手術なし-処置1:なし-処置2:4あり-副病:なし-発症前Rankin Scale 0、1又は2 67 13.87 15.70 26.87% 72.54
010060×2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)-手術なし-処置1:なし-処置2:2あり-副病:なし-発症前Rankin Scale 0、1又は2 43 15.61 15.57 37.21% 77.81
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 23 7.00 6.25 4.35% 76.43
010230xx99x00x てんかん-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 22 9.18 7.20 13.64% 58.27

 

 脳神経内科では、迅速な対応が必要な急性期脳卒中(主として脳梗塞)から、在宅医療との緊密な連携が必要な神経難病まで、広範な領域の脳神経疾患を担当しています。⼊院疾病では、パーキンソン病、急性期脳梗塞、てんかんが上位を占めています。

 神経難病のパーキンソン病では、正確な診断、症状変動期の薬剤調整、合併症の治療、生活指導など個々の患者に対応した治療、ケアが必要になるため⼊院頂いています。

 当院では脳神経外科と協同して脳卒中センターを運営しており、t-PA血栓溶解療法や血栓回収療法といった脳梗塞の超急性期治療を行っています。一過性脳虚血発作も,脳梗塞に発展するリスクが高い場合は、入院加療の対象になります。

 てんかん重積発作では、初期には集中治療室での加療が必要なことも多く、多くのメディカルスタッフと協力し、治療を行っています。

 

 

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症-手術なし-処置1:なし-処置2:0-副病:0-0 16 12.06 12.88 0.00% 68.31
080190xxxxxxxx 脱毛症-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 3.31
080020xxxxxxxx 帯状疱疹-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0- 9.29
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒)-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 3.62
080100xxxx0x0x 薬疹、中毒疹-手術なし-処置1:なし-処置2:0-副病:なし-0 10.61

 

  1. 薬疹・中毒疹:多様な基礎疾患を持つ患者が増えていますが、治療目的に投与された薬剤による薬物アレルギーは、増えています。近年の新規薬剤での薬疹は従来とは異なる臨床像や経過があり、注意が必要です。薬疹では皮膚症状から原因は特定できず、有効な再現検査はありません。薬疹の治療には担当科の協力が不可欠であり、重症型の場合は薬疹で死に至る場合もあり、ステロイドホルモン剤の全身投与目的に入院加療が必要になる場合があります。
  2. 水疱症:尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡などの自己免疫性水疱症は高齢者に多い経過の長い皮膚疾患です。重症では全身に水疱が拡大し皮膚が欠損した部位から体液の漏出や感染の併発など全身に影響する場合があります。基本的にはステロイド剤の全身投与と局所軟膏処置で治療しますが、状況によってはステロイドパルス療法や、ガンマグロブリン大量療法、腎透析科に依頼し血漿交換療法などを入院で行う場合があります。
  3. 薬物中毒(その他の中毒)全身のアレルギー症状が皮膚に生じ、原因薬剤が特定できた場合は薬疹、薬物アレルギーと判断しますが、原因不明の場合は多くその場合は中毒疹とする場合があります。重症や全身に皮膚症状が拡大し粘膜疹を伴う場合は入院加療をおこないます。
  4. 湿疹皮膚炎群:皮膚の炎症疾患(湿疹・皮膚炎群)で入院する場合の総称です。アトピー性⽪膚炎、全⾝湿疹や薬疹など原因疾患は多岐にわたります。局所軟膏処置とともに抗アレルギー剤や免疫抑制剤や、状況によってはステロイド剤の全身投与を併用します。環境要因が関与する場合は転地目的で入院していただく場合もあります。
  5. 糖尿病足病変:糖尿病患者の増加とともに難治性の足病変は増加しています。糖尿病患者は様々な合併症が併存しており、治療は院内各科と連携して行う必要があります。当院では足壊疽対策チームがあり、担当各科と連携しながら糖尿病足病変の療を行う体制作りを進めております。入院される場合は合併症によりその担当科での入院になります。しかし患者が、喫煙や飲酒、食生活などの生活習慣改善や節制ができない場合は、状況によっては再発悪化を繰り返し治療が奏功せず足切断に至る場合があります。また、患者の生活改善なしには病院での治療介入には限界があり、糖尿病の足壊疽患者では治療の対象にならない場合はあります。

 

 

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍-膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 182 5.78 6.85 0.55% 77.69
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:あり-処置2:0-副病:0-0 150 2.34 2.44 0.00% 70.79
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍-前立腺悪性腫瘍手術等-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 145 12.39 11.19 0.69% 69.86
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患-経尿道的尿路結石除去術-処置1:0-処置2:0-副病:なし-0 80 7.09 5.22 5.00% 64.29
11001xxx01x0xx 腎腫瘍-腎(尿管)悪性腫瘍手術等-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 50 10.44 10.08 2.00% 68.56

 

 当科では尿路性器癌(前立腺癌、膀胱癌、腎盂尿管癌、腎癌、精巣癌等)、前立腺肥⼤症、副腎腫瘍、尿路結⽯症、尿路通過障害、尿路感染症、⼩児ならびに婦⼈泌尿器科疾患等の治療を行っています。 ⼊院患者の多くは手術を受ける患者さんであり、手術のほとんどは腹腔鏡等の内視鏡で行い、最近ではダヴィンチというロボットを使⽤しての手術も行っています。2022年11月より最新機種のダヴィンチXiを2台導入しました。最近では、腎盂形成術や腎摘除術、腎尿管全摘術といったこれまで腹腔鏡で行っていた術式が、次々とロボット手術の保険適応となったこともあり、当科ではこれまでの腹腔鏡手術の経験を生かして、現在はほとんどの手術をロボット手術にて行っています。現在までに2,000件以上の腹腔鏡手術を行っており、スタッフの多くは腹腔鏡技術認定医で、安全で確実な手術を実践しています。

 当科⼊院患者数の最も多いのは前立腺癌の手術です。これは前立腺全摘除術といって多くは開腹手術で行われていた手術です。ただ当科では2000年1月より全国に先駆け腹腔鏡手術を開始し、2014年2月からはダヴィンチというロボットを⽤いた腹腔鏡手術を始めています。2時間程度の手術時間で、ほとんど出血のない手術が可能となりました。治療成績も開腹手術と⽐べても遜⾊ありません。現在は、神経温存手術を積極的に行っており、その影響か尿失禁も以前の腹腔鏡手術より⼤幅に改善しています。またこれらの実績が評価され2015年7⽉からはダヴィンチの⾒学施設に認定されています。現在では、腎部分切除術もロボットを⽤いて行っており、従来なら腎臓を摘出していたような⽅にも部分切除で腎を温存する事が可能になってきました。

 次に、膀胱癌ですが、ほとんどはTURという内視鏡の手術で行っています。なるべく膀胱は温存しようと考えていますので、膀胱全摘除術は年に10件前後とそんなに多くはありません。ただ膀胱全摘除術する場合にも、ロボットを使⽤した手術を行っています。手術時間は開腹手術と変わらず、出⾎量は少なく、術後の回復も早い⾮常にメリットの多い手術です。膀胱を摘出した場合には、腸管を使って尿路変更を行います。従来は⼩切開による開腹手術で行っていましたが、現在は、この手術もロボットを⽤いて体内で行う様にしています。

 尿路結⽯に対しては内視鏡を⽤いレーザーで砕⽯を行っています。前立腺肥⼤症に対しても内視鏡的にレーザーを⽤いたHoLEPという治療を導⼊しています。前立腺肥⼤症や前⽴腺癌の⽅には⿏蹊ヘルニアを合併する場合が多く⾒られます。このような⽅にもメッシュプラグを⽤いた手術を行っています。

 以上のような外科的な治療だけではなく抗がん剤や分⼦標的薬、オプジーボのような薬剤を⽤いた化学療法も行っており、膀胱癌を始めとする尿路上⽪癌や前立腺癌、腎癌、精巣腫瘍に対して行っています。

 

 

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040110xxxxx0xx 間質性肺炎-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 156 15.14 18.65 1.92% 71.53
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:2あり-処置2:なし-副病:なし-0 136 3.15 2.98 0.00% 72.60
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:4あり-副病:なし-0 128 8.75 8.33 1.56% 72.96
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 67 2.99 2.03 0.00% 64.94
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸-手術なし-処置1:あり-処置2:0-副病:0-0 67 2.99 2.03 0.00% 64.94

 

 呼吸器内科の入院の1位は、間質性肺炎に関連するものです。間質性肺炎の診断、治療、ケアにおきまして、専門性の高い知識と経験が必要なため、奈良県内外から当科への紹介が多くなっております。入院内容は、診断検査、治療導入、また、急な状態悪化のための緊急入院などとなります。

 肺癌に関する入院が2位、3位となっています。2位は、肺癌診断のための検査入院(主に気管支鏡検査)で、3位は、肺癌診断後の内科的治療の中心である化学療法(いわゆる抗がん剤)を行うための入院です。初めての治療導入の際は、治療のより詳しい説明や、実際の薬剤の投与、副作用の確認などを行います。また、抗がん剤の変更が必要となった患者様にも、再度入院いただくことが多くなっております。

 4番目には、誤嚥性肺炎の入院となります。高齢化社会を反映し、誤嚥性肺炎に罹患され患者数も多いですが、同じ患者さんが繰り返し発症し、入院される方も少なくありません。

 5位には、睡眠時無呼吸症候群の確定診断のための検査入院です。社会的にも非常に関心の高い疾患です。検査を希望される方、また必要な方は年々増えております。当院では、最近入院検査枠を拡充し、入院待機時間の短縮を図っております。

 

 

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈-経皮的カテーテル心筋焼灼術-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 359 4.58 4.57 0.00% 68.44
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-経皮的冠動脈形成術等-処置1:なし、1,2あり-処置2:なし-副病:0-0 166 6.68 4.26 0.60% 72.33
050130xx9900x0 心不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:0-他の病院・診療所の病棟からの転院以外 142 14.47 17.38 9.15% 82.27
050210xx97000x 徐脈性不整脈-手術あり-処置1:なし、1,3あり-処置2:なし-副病:なし-0 127 10.24 9.77 0.79% 78.82
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患-手術なし-処置1:1あり-処置2:なし-副病:0-他の病院・診療所の病棟からの転院以外 92 4.22 3.05 0.00% 70.42

 

 生活様式の欧米化や高齢化にともない、動脈硬化性疾患(心血管系疾患,脳血管障害など)は増加しています。その中でも狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患や、心臓に生じるリズムの異常である不整脈が増えています。また高齢化社会到来に伴い心不全による入院も増加しています。当科では虚血性心疾患に対する冠動脈造影検査や冠動脈狭窄病変に対する経皮的冠動脈形成術、そして不整脈へのアブレーション治療を数多く行っています。それぞれについて簡単に説明します。

  1. 心房細動経皮的カテーテル心筋焼灼術施行
    正常な心臓は安静時には1秒間に約1回のペースで規則正しく収縮していますが、心房細動とはそんなリズミカルな拍動が失われる代表的な不整脈です。心房細動は高齢化とともに急速に増加している不整脈です。自覚症状として脈の乱れ、動悸、胸部不快があります。放置すると心臓の中に血栓ができて、脳梗塞などの血栓症の原因となります。最近では心房細動もカテーテル・アブレーションで治療可能となっています。高齢の方でも症状の強い場合は治療を行います。カテーテル・アブレーションは、カテーテルという管を心臓内に入れて、不整脈の原因となっている部分に通電を加えて焼灼する治療法で、技術・器具の進歩もあり治療成績が向上しています。
  2. 狭心症経皮的冠動脈ステント留置術施行
    心筋を養う冠動脈の内腔が狭くなって、心臓の筋肉に十分な血液が流れなくなる病気を狭心症といいます。心臓に必要なだけの栄養と酸素が不足すると、心筋は正常に働けなくなります。この時に患者さんは胸が締め付けられるような痛みを感じます。これが狭心症の発作です。この流れが悪くなった冠動脈を内側から拡張し血流を改善する方法に冠動脈ステント留置術があります。ステントは拡張することができる網目状の小さな金属製の筒です。ステンレススチールやコバルト合金などの金属でできています。小さなバルーンに取り付けたステントを冠動脈内で拡張し動脈硬化で狭窄を生じた血管壁に押しつけて拡張し血流を回復します。狭心症に代表される虚血性心疾患の治療として確立した方法で、循環器内科でも多くの患者さんに治療を行っています。
  3. 心不全による入院への検査・治療
    心不全は、心臓のポンプとしての働きが低下し、腎臓や肝臓を含めた主要な臓器に十分な血液を供給することができなくなり、また肺や全身に血液が滞る状態(うっ血)をいいます。心不全の主な原因としては、弁膜症や高血圧、心筋梗塞あるいは心筋症、不整脈といった疾患があります。心不全を悪化させないためには、原因を解明するための検査を行い、適切な治療や対策を早期に行うことが重要です。
  4. ペースメーカー移植術
    現時点で徐脈性不整脈を安全かつ確実に治す内服薬はありません。ペースメーカーは心臓の筋肉に電気刺激を与えることで、生体に必要な心収縮を発生させる医療機器です。弱ってしまった心臓の電気システムの一部を機械に代用してもらうペースメーカーが最も安全で確実な治療法となります。
  5. 狭心症心臓カテーテル法施行
    狭心症は虚血性心疾患の代表です。虚血性心疾患の診断を正しく行い治療方針をたてるためには冠動脈の状態を正確に評価することが大切です。その方法が心臓カテーテル法です。冠動脈ステント留置術やバイパス手術の適応を判断するためには必須の検査法です。虚血性心疾患の増加にともない、この検査のための入院件数も増加しています。

 

 

腎透析科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-動脈形成術、吻合術 その他の動脈等-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 40 3.50 7.57 0.00% 69.00
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:なし-処置2:1あり-副病:0-0 22 12.46 13.81 0.00% 71.95
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:0-0 11.49
110280xx97x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-その他の手術あり-処置1:0-処置2:1あり-副病:0-0 24.61
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-動脈形成術、吻合術 その他の動脈等-処置1:0-処置2:1あり-副病:0-0 34.07

 

 当科は慢性腎不全患者さんの血液透析導⼊およびシャント作成、シャントトラブル対応、腹膜透析導⼊、腹膜透析関連合併症を中⼼に診療を⾏っています。

 内シャント作成は⾃⼰⾎管、⼈⼯⾎管両⽅の⼿術に対応しており、他院で血液透析中の⽅で内シャントの狭窄、閉塞などのトラブルが発⽣した症例もご紹介いただき、日帰り⼿術として経⽪的⾎管拡張術を⾏っています。また、当院では腹膜透析から透析を導⼊する⽅法が慢性腎不全患者さんの⽣命予後に資するという考えのもと積極的に腹膜透析の導⼊を⾏っております。

 ⼊院症例では、腹膜透析の導⼊、または腹膜炎などの腹膜透析合併症治療や、⼈⼯⾎管内シャントや⾃⼰⾎管内シャント造設⽬的の⼊院、シャントをすでに作成しており、⾎液透析を導⼊する症例、⾎液透析⽤のシャント狭窄や閉塞に対し⼊院治療する症例等となっております。⼿術では⾃⼰⾎管による内シャント造設術、⼈⼯⾎管による内シャント造設術、腹膜透析カテーテル留置術および抜去術、等を入院で行っており、シャントの経皮的血管拡張術は主に日帰り手術で行っております。

 

 

内分泌内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-手術なし-処置1:0-処置2:1あり-副病:0-0 47 14.62 13.99 0.00% 68.94
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 21 11.24 10.66 0.00% 63.81
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 17 13.71 13.15 5.88% 64.18
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:0-副病:なし-0 15 4.07 6.47 0.00% 62.20
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-手術なし-処置1:0-処置2:1あり-副病:0-0 13.31

 

 内分泌内科の専門領域は糖尿病や脂質異常、そして甲状腺をはじめとする内分泌臓器の機能異常などを含む内分泌・代謝疾患です。

 生活習慣病や慢性疾患に類する疾患が中心であることから外来診療が中心となります。入院症例の大多数を占めるのは、2型そして1型糖尿病の血糖コントロールや合併症治療(糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群、感染症)、そしてインスリンポンプを含む種々のインスリン治療の導⼊や調整を目的とした入院です。この中には、外科系診療科の術前コントロールあるいは化学療法等で使用するステロイドホルモンによる高血糖に対する治療も含まれます。1〜2週間の入院中に、糖尿病療養指導士(CDE)の資格をもったスタッフを中心に糖尿病自己管理教育と療養指導が行われます。最近は、高血圧の原因として副腎腫瘍による原発性アルドステロン症の位置づけが大きくなっており、副腎機能評価や静脈サンプリングを含めたパス入院が増えています。

 

 

血液内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫-手術あり-処置1:0-処置2:4あり-副病:なし-0 47 21.62 23.00 0.00% 69.40
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫-手術なし-処置1:0-処置2:4あり-副病:0-0 40 14.58 9.62 2.50% 67.33
130030xx99x9xx 非ホジキンリンパ腫-手術なし-処置1:0-処置2:9あり-副病:0-0 28 13.82 12.88 0.00% 75.75
130010xx97x2xx 急性白血病-手術あり-処置1:0-処置2:2あり-副病:0-0 26 34.58 36.19 0.00% 57.65
130010xx97x9xx 急性白血病-手術あり-処置1:0-処置2:9あり-副病:0-0 13 35.46 34.93 7.69% 72.38

 

 血液内科は、血液のがん(急性白血病、慢性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫)、造血不全または難治性の貧血(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群の一部)、血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病)などの血液疾患の診療を担当します。血液のがんは「造血器腫瘍」ともよばれ、抗がん剤を用いた化学療法が奏功します。

 最も多い疾患は悪性リンパ腫です。悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と⾮ホジキンリンパ腫に分類され、後者はさらにB細胞性とT細胞性に分類されます。一方、低悪性度・中悪性度・高悪性度の3段階に分類したり、リンパ臓器に発生する「節性」とリンパ臓器以外に発生する「節外性」に分類したりします。これらの分類と、ポジトロンエミッショントモグラフィーを用いた病期診断に基づいて治療法を決定します。最も頻度の高い中悪性度B細胞性リンパ腫ではR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロフォスファミド、アドリアマイシン、オンコビン、プレドニンの5剤の併用療法)またはオンコビンに換えてポラツズマブベドチンを使用するPola-R-CHP療法、低悪性度B細胞性リンパ腫ではBRまたはBG療法(ベンダムスチン、リツキシマブまたはオビヌツズマブの2剤)を選択することが一般的です。これら化学療法の第1サイクルは入院で実施しますが、第2サイクル以降は外来化学療法室で実施します。ご高齢の患者さんには投与量を減量します。高悪性度リンパ腫には多剤を短期間に集中投与する治療法を実施します。中枢神経再発予防のために高用量のメトトレキセートを投与することもあります。再発・難治性や高リスクの患者さんには、自家造血幹細胞移植を併用した高用量化学療法を実施します。ご高齢や全身状態不良等で自家造血幹細胞移植が適応にならない再発・難治性の患者さんには、ポラツズマブベドチンとベンダムスチンを併用したPola-R-CHP療法も選択肢に加わります。

 多発性骨髄腫は、免疫グロブリンを産生する形質細胞ががん化した疾患で、貧血、骨病変、腎障害、高カルシウム血症などの多彩な症状をきたします。近年、本疾患に対する新薬が次々に開発されました。初発の患者さんには、主に、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾン、ダラツズマブから、2剤または3剤を組み合わせた治療法を選択します。65歳以下の患者さんには自家造血幹細胞移植を併用して高用量のメルファランを投与します。再発・治療抵抗性の患者さんには、イサツキシマブ、エロツズマブ、ポマリドミド、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、パノビノスタットが承認されています。これらの治療によって、多発性骨髄腫の治療成績は著しく向上しています。

 その他に頻度の高い疾患は急性白血病です。急性白血病は骨髄性白血病とリンパ性白血病に分類されますが、成⼈では前者が大半です。近年では、骨髄異形成症候群から進展するタイプや、過去の抗がん剤治療や放射線治療が原因で発症する治療関連白血病が増えています。急性白血病の治療は、寛解導入療法と地固め療法によって白血病細胞を根絶することを目標にします。抗がん剤は点滴投与しますが、一部の病型では内服薬を併用します。治療によって寛解状態に至れば、造血は回復し、日常生活・社会生活に支障をきたすことはありません。治療期間中はクリーンルームに収容し、感染症管理・治療などの補助療法を合わせて実施します。一方、白血病細胞が多くない場合やご高齢の患者さんにはアザシチジンとベネトクラクスの組み合わせが奏効することがあります。急性白血病の再発リスクの高い患者さんや、第2寛解期の患者さんに対しては、同種造血幹細胞移植を実施します。移植ドナーは血縁者、非血縁者(骨髄バンク)、臍帯血から選択します。従来、移植ドナーはヒト白血球抗原(HLA)が適合する必要がありましたが、今日ではHLA半合致の血縁ドナーからも安全に移植することができます(ハプロ移植とよばれます)。同種造血幹細胞移植は、血液内科医師だけでなく、全身放射線照射を担当する放射線科医師・技師、日々の看護業務を担当する看護師、免疫抑制剤や抗生物質の調整を担当する薬剤師、社会復帰に向けて身体能力の向上を担当する理学療法士、血液検査や造血幹細胞の保存を担当する検査技師などの多職種の協力がなければ成り立ちません。当院では、造血幹細胞移植治療にかかわる医療者と定期的なカンファレンスを行い、質の高い医療を実践することを常に全員が心がけています。

 

 

消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)-内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 197 2.27 2.61 0.00% 70.68
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎-限局性腹腔膿瘍手術等-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 156 10.10 8.75 2.56% 76.22
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍-内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 141 8.11 7.61 0.00% 75.33
060010xx99x40x 道の悪性腫瘍(頸部を含む。)-手術なし-処置1:0-処置2:4あり-副病:なし-0 38 7.16 8.67 0.00% 72.92
060100xx97xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)-その他の手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 34 7.77 7.83 0.00% 69.15

 

 胃の悪性腫瘍に対する内視鏡的切除は、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を行うことで数cmにも及ぶ大きな病変を外科手術することなく根治することが可能です。低侵襲であり、手術翌日から食事が可能で、1週間程度の入院で退院となります。

 大腸ポリープに対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)の目的は、前癌病変および早期癌に対する低侵襲治療です。前癌病変や早期癌の状態で発見された病変が適応で、外来や2日程度の入院で治療を行います。2cmを超える病変や形態によっては、胃と同じく、ESDを行います。こちらは1週間程度の入院です。早期の状態で見つけることで内視鏡的治療による完全切除が可能となるので、積極的に下部内視鏡検査を受けていただきたいと考えます。

 胆管結石や胆管炎は以前から多い疾患ですが、高齢化とともに有病率が上昇しています。結石により胆汁の流れが阻害され、さらに細菌感染が併発すると重症化します。抗生剤の点滴だけでなく、適切な時期に内視鏡を挿入し、胆管内へのチューブ留置や結石を除去すことで、速やかな病態の改善が期待できます。高齢者や基礎疾患の多い方でも体へ負担少なく治療可能です。

 

 

総合内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 56 19.09 20.60 19.64% 84.73
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 56 16.41 13.52 17.86% 81.00
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:なし-0 33 16.15 14.23 6.06% 68.21
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害-手術なし-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 26 9.35 10.25 3.85% 76.46
050130xx9900x0 心不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:0-他の病院・診療所の病棟からの転院以外 21 15.57 17.38 19.05% 88.24

 

  1. 誤嚥性肺炎
  2. 尿路感染症
  3. 自己免疫疾患
  4. 電解質異常
  5. 心不全

 総合内科への入院で、最も多い疾患は肺炎です。肺炎は2024年の死亡原因の5位となっています。70歳以上のご高齢の患者さんでは、誤嚥が原因である誤嚥性肺炎が多いです。尿路感染症、蜂窩織炎、化膿性椎体炎と並んで、高齢者に多くみられる感染性疾患の1つです。総合内科では、これらの疾患に対して適切に治療を行っています。

 第2の疾患は、尿路感染症です。高齢者の発熱や炎症性疾患では、肺炎についでよく見られる疾患です。悪寒、戦慄をきたし高熱の原因となります。尿路に異常がある場合は、泌尿器科入院の場合もありますが、通常は総合内科で入院して治療します。

 第3番目は、自己免疫疾患、一般に膠原病と呼ばれる疾患です。全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性筋炎、全身性血管炎、強皮症などが具体的な疾患名です。膠原病では疾患により、合併する臓器もことなり細やかな治療が必要です。特に最近では、有名演歌歌手が「抗MDA5抗体陽性筋炎」で亡くなられたのはご存じと思います。奈良県下では、これらの疾患の診療を展開する病院が少ない中、当院は数少ない専門医療機関の一つとなっています。

 第4番目は、電解質異常です。人間の体内ではいろいろなものが常に一定の体のバランスを維持しています。これをホメオスターシスといいます。ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質もこれにあてはまります。普段は腎臓を中心に維持されていますが、電解質のバランスが崩れると、いろいろな症状があらわれます。ときに意識障害や筋力低下、不整脈など重篤な状態となることもあります。多いのは、高カリウム血症、低カリウム血症、低ナトリウム血症、高カルシウム血症などです。

 第5番目は、心不全です。心不全は、循環器内科の疾患ですが、全身状態が悪い状態で原因が不明の場合、総合内科に入院、その後に心不全であることが判明することも多いので、総合内科入院となるケースもまれではありません。高齢化が進んだ近年では、「心不全パンデミック」とも呼ばれ、高齢者の心不全が急激に増加しています。もちろん肺炎と合併している場合もあるので、適切に診断と治療が必要になります。

 

 

乳腺外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等-処置1:なし-処置2:0-副病:0-0 87 10.01 9.88 0.00% 64.91
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの)-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 43 6.16 5.64 0.00% 59.60
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍-手術あり-処置1:0-処置2:0-副病:0-0 13 5.15 4.00 0.00% 58.69
090010xx99x0xx 乳房の悪性腫瘍-手術なし-処置1:0-処置2:なし-副病:0-0 9.69
070040xx99x2xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。)-手術なし-処置1:0-処置2:2あり-副病:0-0 20.05

 

 1位から3位は乳癌や乳腺の良性腫瘍に対する手術に伴う入院のものです。

 化学療法などの薬物療法、乳房温存療法での放射線治療などはほぼすべてが外来通院で行われます。乳癌には様々なタイプがあり、それに応じた適切な治療を行う必要があります。乳癌の治療成績は年々向上しており、全体としては10年生存率が85%程度になっています。標準治療が普及している一方で、患者さんの年齢や合併症、ライフスタイルや価値観などに合わせたより質の高い医療が求められる時代となっています。

 乳腺外科では乳腺疾患(主に乳癌)に対して、専門性の高い医療を提供できるように心がけています。20年前から乳腺外科医、放射線診断医、放射線治療医、形成外科医、病理診断医、細胞検査師、放射線科技師、臨床検査部技師など多職種で形成されるCancer boardを編成しています。毎週カンファレンスを行い、すべての患者対して適切な診断や治療方針を検討しています。

 4位以下は乳癌の脳転移や骨転移に対する放射線治療やその他の療養のための入院です。術後の再発予防の放射線治療は先にも述べたように外来通院で行いますが、再発や転移の患者さんは体調不良や痛み、麻痺などのために通院での治療が困難となることがあります。そのようなときには入院で放射線治療を受けていただくことがあります。

 

 

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
StageⅠ StageⅡ StageⅢ StageⅣ 不明
胃癌 111 11 20 24 16 80 1 8
大腸癌 45 41 51 42 42 2 9
乳癌 43 72 10 1 8
肺癌 207 47 68 192 41 295 1 8
肝癌 16 64 2 6

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

 胃癌は健診で発見されるものの多くがStageⅠであり、内視鏡手術で切除できるものが多いのも特徴です。

 大腸癌も検診発見例が多いですが、胃癌に比べると早期例が目立って多いわけではありません。胃癌と同様に内視鏡的切除手術の適応が拡大しています。

 乳癌は自己発見も容易なため、早期の段階で治療がなされています。

 肺癌患者数はStageⅠとStageⅣに大きく分かれています。検診発見例ではStageⅠが多く、症状での発見例はStageⅣが多いためです。検診が重要な癌といえます。

 肝癌は初発例よりも再発例の方が際立って多いことが特徴です。これは肝癌が慢性肝炎や肝硬変に合併して起こることが多く、このような肝臓は癌を発生しやすくなっているためです。治療をしても別の個所に再発することが多いです。血管塞栓術や薬物注入など、より侵襲の少ない方法を用いて根気よく治療を続けます。

 

 

成人市中肺炎の重症度別患者数等

患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 15 10.47 61.67
中等症 115 15.29 74.95
重症 38 17.42 79.21
超重症 12 26.08 82.83
不明

 

 市中肺炎とは、普段の社会生活を送る中で罹患した肺炎を指します。重症度は日本呼吸器学会の成人市中肺炎診療ガイドラインによる重症度分類システムにて分類しています。

 当院では市中肺炎は中等症以上の患者さんが多く、かつ平均年齢が上がるほど重症度も上がります。これは市中肺炎の罹患率、死亡率の高齢化を反映しており、高齢化社会の重要な疾患です。当院では基礎疾患のある肺炎の患者さんを数多く受け入れています。

 

 

脳梗塞の患者数等

発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 389 19.87 76.79 42.03%
その他 25 12.76 78.28 1.21%

 

 脳梗塞の患者さんについて患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を集計したものです。

 発症3日以内の急性期脳梗塞の患者さんが多数を占めています。脳卒中ケアユニットを開設し24時間体制で診療にあたります。脳梗塞発症からの経過時間が基準を満たせば、血栓溶解療法や血栓回収術などの血管内手術を積極的に行います。これにより症状の軽減、早期の復帰を目指しています。また、発症予防の血管内ステント留置も行います。

 

 

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 

消化器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 136 0.80 5.94 1.47% 66.31
K6335 鼠径ヘルニア手術 77 1.14 2.60 0.00% 72.38
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 72 4.06 13.46 1.39% 75.40
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 39 1.26 2.97 0.00% 69.74
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 37 0.32 3.97 0.00% 44.30

 

 胆嚢結石症は、胆石発作や胆管炎などを起こした場合、手術適応となり、精査の後、待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術を行います。また急激な腹痛で急性胆嚢炎と診断された場合には、炎症早期に緊急手術を行う方針としております。胆嚢摘出術は多くの場合、腹腔鏡で切除に向かいますが、腹腔内の癒着が高度である場合や、炎症が強く、大事な構造物が存在する肝門部の剥離操作が困難な場合には開腹手術に移行することがあります。

 鼠径とは、足のつけね(鼠径部)のこと、「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態を示しており、鼠径ヘルニアとはいわゆる脱腸のことであります。鼠径ヘルニアを放置すると時に腸がはまりこんで抜けない状況になることがあり、腸閉塞や腸管虚血壊死に至ってしまうことがあります。鼠径ヘルニアと診断された場合、放置して治ることはありませんので、手術をお勧めします。手術ではヘルニア嚢を処理し、弱くなった腹壁の筋膜をメッシュと呼ばれる人口補強材で補強しますが、従来の前方からの修復法に加え、腹腔鏡を用いた手術方法も多く行っております。

 結腸癌・直腸癌を含めた大腸癌は早期癌・進行癌ともに年々増加しています。当院では毎週内科・外科でカンファレンスを行い、大腸癌治療のガイドラインに基づいて適切な治療方針を決めています。進行癌や内科的治療の適応外と判断された場合は手術を行います。基本的には腹腔鏡で手術を行っていますが、最近はロボット支援下に行う手術も増えております。腸閉塞症状をおこした進行癌の場合は緊急で開腹手術を行うこともあります。

 虫垂炎は臨床症状、採血data、CTや腹部超音波などの画像診断で診断されます。虫垂炎と診断されると、広範な腹膜炎に移行する前に虫垂切除を緊急で行うことが多いですが、発症から時間が経過し膿瘍形成しているような一部の症例では、すぐに切除を行うと大腸切除を必要とする可能性があるため、一旦、抗生剤治療を行い、待機的手術を後日行う方針となります。基本は腹腔鏡下に虫垂切除を行いますが、腹腔内の状況によっては開腹手術となります。

 

 

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(股) etc. 82 1.63 14.56 90.24% 71.13
K0461 骨折観血的手術(大腿) etc. 30 2.90 17.77 56.67% 74.73
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 24 1.96 20.75 33.33% 73.58
K1421 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(前方椎体固定) 22 1.05 21.82 13.64% 66.14
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) 22 4.05 17.41 22.73% 71.50

 

 腰部脊柱管狭窄症、頚椎症などに対する脊椎除圧・固定手術、変形性関節症、大腿骨頭壊死症などに対する人工股関節・人工膝関節置換術、大腿骨近位部骨折に対する骨接合術、人工骨頭挿入術を主に実施しています。

 

 

形成外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) 20 1.00 1.35 0.00% 75.40
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除)
K013-21 全層植皮術(25cm2未満)
K0871 断端形成術(骨形成を要する)(指)
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満)

 

  1. 加齢による眼瞼下垂症に対する手術は2種類あります。一つは余剰皮膚切除で、重瞼部または眉毛下の皮膚切除を行います。もう一つは挙筋前転術で、重瞼部の皮膚切除に加えて、挙筋腱膜を剥離・前転して瞼板に縫合固定します。基本的には入院となりますが、日帰り手術も可能です。
  2. 皮膚悪性腫瘍で多いのは、基底細胞癌と有棘細胞癌です。大きい腫瘍や、発生部位が眼瞼や鼻の場合は、切除によって生じた欠損部の再建手術が必要となります。
  3. 皮膚移植術を行うのは、熱傷や外傷による皮膚潰瘍、皮膚悪性腫瘍切除後皮膚欠損、難治性皮膚潰瘍などです。移植皮膚が生着するためには良好な肉芽組織形成が必要となるため、術前に2−3週間の創部処置が必要になることが多いです。
  4. 糖尿病や動脈硬化が原因の足壊疽が増えています。放置すると感染をきたし大切断が必要になることが多いので、適切な時期に適切な治療を行うことが重要です。感染がなければ1−2週間で治癒しますが、感染や血流不良がある場合は2ヵ月程度の入院が必要となります。
  5. 先天性の母斑(黒あざなど)に対する外科的治療は、大きさや発生部位に応じて手術時期や方法を相談させていただき、治療方針を決定します。整容的に良好な結果が得られるよう配慮しますが、傷跡や変形が残ることは避けられないので、十分納得して治療を受けていただくことが重要と考えています。

 

 

脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 59 0.58 7.31 16.95% 79.93
K178-4 経皮的脳血栓回収術 54 0.22 21.37 59.26% 77.81
K1781 脳血管内手術(1箇所) 22 1.23 25.59 36.36% 68.50
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 15 4.40 16.40 53.33% 75.27
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 13 2.85 32.23 38.46% 64.46

 

前述、診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)のとおりです。

 

 

呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) etc. 55 1.33 7.29 0.00% 73.29
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) etc. 54 1.30 6.82 0.00% 71.98
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 49 1.12 3.82 0.00% 70.80
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 14 3.00 4.64 0.00% 44.86
K5132 胸腔鏡下肺切除術(部分切除)

 

 悪性腫瘍に対する切除術が、多数を占めています。切除範囲は腫瘍の状態により決定され、肺部分切除、肺区域切除および肺葉切除もしくはそれ以上の切除が行われます。90%近くの症例は、胸腔鏡下(ロボット支援下手術を含む)により行われています。その他、気胸や肺良性腫瘤に対しても肺部分切除が行われています。

 

 

心臓血管外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5603ニ 大動脈瘤切除術(上行・弓部同時)(その他) 53 2.66 30.17 26.42% 70.58
K5606 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(分枝血管の再建)) 31 3.94 17.74 6.45% 74.77
K5551 弁置換術(1弁) 22 4.77 19.41 9.09% 68.86
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 19 3.00 20.47 26.32% 75.89
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 19 3.21 8.21 10.53% 79.63

 

 ⼼臓⾎管外科の患者数の多い順でみると上位5位中第1、2、3、5番目を大動脈疾患が占めました。患者さん分布と疾患の発症頻度から、腹部大動脈瘤が多く、次に胸部大動脈瘤が続きました。治療法に関しては人工血管置換術が多く、次いでステントグラフト内挿術が続きました。基本的には確実な人工血管置換術を行いますが、開胸や開腹手術が困難な患者さんが増加しつつあり、低侵襲であるステントグラフトの需要も増しています。

 第4番目に多い症例は弁膜症に対する弁置換術(1弁)でした。当院はハートチームで経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)の実施施設であり、その症例は増加傾向にあります。一方TAVIは解剖学的な制約も多く、その結果高齢者でも弁置換術(1弁)が増加した結果と推察されます。

 

 

産婦人科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 40 0.93 4.38 0.00% 45.45
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術(内視鏡手術用支援機器使用) etc. 35 1.00 4.40 0.00% 48.40
K867 子宮頸部(腟部)切除術 19 1.00 1.05 0.00% 46.95
K872-32 子宮内膜ポリープ切除術(その他) 15 1.00 1.00 0.00% 46.13
K879 子宮悪性腫瘍手術 15 3.07 10.93 6.67% 66.53

 

 婦人科手術のうち、良性腫瘍の手術では従来は開腹手術が行われてきましたが、近年ではその多くの症例が腹腔鏡手術やロボット支援下の腹腔鏡手術(ダビンチ手術)で行われるようになっています。患者さんの状態に合わせて安全性を第一に考え、より最適な術式を選択しています。悪性腫瘍手術も多数の症例に対応しております。子宮頚がんの前がん病変であれば、子宮を温存した子宮頚部切除術が多く実施されるとともに、子宮内膜のポリープや粘膜下筋腫に対して子宮鏡を用いた切除術が行われています。

 

 

眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 873 0.99 1.94 0.11% 75.55
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 175 0.97 6.78 0.00% 65.85
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 92 0.70 7.24 0.00% 64.82
K2682イ 緑内障手術(流出路再建術)(眼内法) 75 1.13 2.87 0.00% 74.72
K2684 緑内障手術(緑内障治療用インプラント挿入術)(プレートなし) 60 1.23 7.25 0.00% 70.48

 

 眼科で最も多く手術をしているのは、白内障手術で、入院や日帰りで手術を行っております。極小切開で手術を行い、術後乱視を軽減しています。乱視矯正眼内レンズ(トーリックレンズ)も行なっています。保険適応の多焦点眼内レンズも採用しています。

 緑内障手術も積極的に行なっています。繊維柱帯切開術や切除術だけでなく、低侵襲緑内障手術(MIGS)も多く手術をしています。緑内障の程度などにより適応を決定しています。

 ⻩斑疾患への手術も多く施行しています。⻩斑前膜、⻩斑分離症、⻩斑円孔、硝⼦体⻩斑牽引症候群など様々な⻩斑疾患に対して手術を行なっています。難治性の増殖性糖尿病網膜症も積極的に手術を行い治療しています。

 その他には、加齢⻩斑変性症、近視性脈絡膜新生⾎管、網膜⾎管閉塞症や糖尿病網膜症に伴う⻩斑浮腫への、抗VEGF療法も2200件を超えています。網膜剥離への緊急手術も積極的に行なっています。網膜剥離の範囲にも依りますが、原則当日入院で対応しています。⻩斑疾患や網膜剥離への手術も低侵襲硝⼦体手術(MIVS)で行い、術後の早期視力回復を目指しています。

 

 

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) etc. 51 1.02 5.14 0.00% 24.84
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 46 1.13 6.09 0.00% 64.52
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術(片葉のみ) 42 1.00 5.21 0.00% 63.57
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 32 0.16 5.09 0.00% 43.03
K3932 喉頭腫瘍摘出術(直達鏡) 28 1.43 3.46 0.00% 69.11

 

 手術に関しては基本的に前日に入院していただき、術後5日目に退院としています。内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型に関しては術後に鼻腔内に創傷被覆を挿入して止血するため、1日長い入院期間を設定しています。

 甲状腺部分切除・甲状腺腫摘出術および甲状腺悪性腫瘍手術については前述の診断群分類別患者数等の欄に記載したとおりです。甲状腺の腫瘍は若年女性にもおおく、切開した部分がきれいになるように切開、縫合をしています。創部は術直後はわざと盛り上げるように縫合し、ガーゼは当てずに透明のシートで創部を被覆します。個人差がありますが、数カ月すると目立たない傷になります。

 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型も診断群分類別患者数等のとおりですが、基本的には全身麻酔で手術を行っています。額の部分にある前頭洞や最深部にある蝶形骨洞は一旦手術しても病変が再燃することがあり、そのような場合は左右の副鼻腔をつなげて広く開放する手技も多く行っています。

 また、鼻内に生じた良性腫瘍や限局した悪性腫瘍も、内視鏡下に手術を行っています。咽頭・口腔領域では口蓋扁桃摘出術が最も多い手術です。当科では超音波凝固装置などのエナジーデバイスを用いて口蓋扁桃摘出術を施行しています。手術指導および手術支援機器の利用により手術時間が短縮され、低侵襲手術の実践が可能となっています。

 扁桃周囲膿瘍は口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)の周囲に膿がたまって発熱、疼痛をきたす疾患です。多くの方は疼痛で唾液も嚥下できない状態となり、放置すると膿が頸部や胸部に進展することもあります。基本的には緊急入院して切開排膿を行い、抗菌薬加療を行います。

 

 

放射線科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他) 29 1.59 2.86 0.00% 76.31
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術)

 

 前述、診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)のとおりです。

 

 

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 181 1.72 3.25 0.55% 77.73
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 144 2.18 9.42 0.69% 69.94
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 76 3.20 4.47 6.58% 64.64
K773-51 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術支援機器・7センチ以下) 50 2.12 7.32 2.00% 68.56
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 50 2.02 7.40 6.00% 73.52

 

 前述、診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)のとおりです。

 

 

循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 295 1.54 2.58 0.68% 69.67
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 105 3.46 3.73 0.95% 72.23
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 76 1.36 2.36 0.00% 64.16
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 70 4.96 6.36 2.86% 74.76
K555-22 経カテーテル弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 55 4.62 10.15 10.91% 84.75

 

  • 狭心症経皮的冠動脈ステント留置術施行(Kコード:K5493)
    心筋を養う冠動脈の内腔が狭くなって、心臓の筋肉に十分な血液が流れなくなる病気を狭心症といいます。心臓に必要なだけの栄養と酸素が不足すると、心筋は正常に働けなくなります。この時に患者さんは胸が締め付けられるような痛みを感じます。これが狭心症の発作です。この流れが悪くなった冠動脈を内側から拡張し血流を改善する⽅法に冠動脈ステント留置術があります。ステントは拡張することができる網目状の小さな金属製の筒です。ステンレススチールやコバルト合金などの金属でできています。小さなバルーンに取り付けたステントを冠動脈内で拡張し動脈硬化で狭窄を生じた血管壁に押しつけて拡張し血流を回復します。狭心症に代表される虚血性心疾患の治療として確立した方法で、循環器内科でも多くの患者さんに治療を行っています。
  • 心房細動経皮的カテーテル心筋焼灼術施行(Kコード:K5951、K5952)
    正常な心臓は安静時には1秒間に約1回のペースで規則正しく収縮していますが、心房細動とはそんなリズミカルな拍動が失われる代表的な不整脈です。心房細動は高齢化とともに急速に増加している不整脈です。自覚症状として脈の乱れ、動悸、胸部不快があります。放置すると心臓の中に血栓ができて、脳梗塞などの血栓症の原因となります。最近では心房細動もカテーテル・アブレーションで治療可能となっています。高齢の方でも症状の強い場合は治療を行います。カテーテル・アブレーションは、カテーテルという管を心臓内に⼊れて、不整脈の原因となっている部分に通電を加えて焼灼する治療法で技術・器具の進歩もあり治療成績が向上しています。
  • 閉塞性動脈硬化症への四肢血管拡張術(Kコード:K616)
    下肢を中心とする末梢動脈が動脈硬化のために細くなったり詰まったりしている病態が閉塞性動脈硬化症です。この血管の中に風船のついた管(バルーンカテーテル)を入れ、血管の狭窄や閉塞部でふくらませて、血管を拡張させる治療法が四肢血管拡張術です。
  • 閉塞性動脈硬化症への四肢血管拡張術(Kコード:K616)
    下肢を中心とする末梢動脈が動脈硬化のために細くなったり詰まったりしている病態が閉塞性動脈硬化症です。この血管の中に風船のついた管(バルーンカテーテル)を入れ、血管の狭窄や閉塞部でふくらませて、血管を拡張させる治療法が四肢血管拡張術です。
  • ペースメーカー移植術(Kコード:K5972)
    現時点で徐脈性不整脈を安全かつ確実に治す内服薬はありません。ペースメーカーは心臓の筋肉に電気刺激を与えることで、生体に必要な心収縮を発生させる医療機器です。弱ってしまった心臓の電気システムの一部を機械に代用してもらうペースメーカーが最も安全で確実な治療法となります。

 

 

腎透析科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 43 1.44 2.86 0.00% 70.72
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈)
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回)
K6121ロ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(静脈転位を伴う)
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)

 

前述、診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)のとおりです。

 

 

血液内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) 13 9.85 1.46 0.00% 61.69
K6181 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(四肢)
K154-3 定位脳腫瘍生検術
K169-2 内視鏡下脳腫瘍生検術
K1911 脊髄腫瘍摘出術(髄外)

 

 血液内科は、血液のがん(急性白血病、慢性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫)、造血不全または難治性の貧血(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群の一部)、血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病)などの血液疾患の診療を担当します。

 診療に際し、正確に診断を行うことが重要であることは言うまでもありませんが、診断方法は多岐にわたります。とりわけ悪性リンパ腫の場合、病変部位を外科的に採取し病理組織像を検討することが重要になります。リンパ節摘出術に加え、脳に病変がある場合は定位脳腫瘍生検術または内視鏡下脳腫瘍生検術、脊髄に病変がある場合は脊髄腫瘍生検術により病変を採取しています。

 診断の結果、治療が必要な場合、多くの場合で血管確保と呼ばれる点滴ラインを確保すること重要になります。これは造血器腫瘍(血液のがん)に対する抗がん剤投与の目的だけでなく、輸血、抗生剤、免疫抑制剤、栄養・水分補給等の多岐にわたる目的のために重要です。しかし、体格や高齢のため末梢血管からの点滴ラインの確保が困難な場合、埋込型カテーテルを設置し診療に当たっています。また、抗がん剤の長期・持続投与が必要な場合、血管外漏出が生じた時に副作用が重篤になるリスクのある場合、早い点滴速度で投与が必要な場合も、埋込型カテーテルを設置し治療を行っています。

 再発・難治性や高リスクの悪性リンパ腫や初回治療で奏功のあった多発性骨髄腫の患者さんには、治療効果を高めるため高用量化学療法を併用した自家造血幹細胞移植を実施しています。あらかじめ造血幹細胞の採取・保存を行います。

 

 

消化器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 188 0.51 1.09 0.00% 70.36
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 135 1.07 6.07 0.00% 75.23
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 74 4.34 7.42 5.41% 76.62
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 59 1.02 5.78 0.00% 70.05
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 54 4.04 5.65 1.85% 74.39

 

 消化器内科で⾏っている⼿術は、⼝や肛⾨から内視鏡を挿入し、体を傷つけず行う低侵襲治療です。腫瘍の切除、胆道狭窄に対するステント留置、消化管出⾎に対する⽌⾎など、過去には外科的⼿術が必要であった治療が、内視鏡を⽤いた負担の少ない⽅法で⾏えるようになりました。早期に離床や食事が再開可能で、入院期間も短いです。

 

 

乳腺外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 60 2.30 6.20 0.00% 65.87
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 44 2.39 2.91 0.00% 59.93
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 23 1.96 8.30 0.00% 63.30
K4741 乳腺腫瘍摘出術(長径5cm未満)
K4742 乳腺腫瘍摘出術(長径5cm以上)

 

 1位から5位はすべて乳癌や乳腺の良性腫瘍に対する手術に伴う入院のものです。乳癌の診療は基本的に外来通院で行われます。乳癌の治療成績は年々向上しており、全体としては10年生存率が90%近くになっています。乳癌には様々なタイプがあり、手術、化学療法や内分泌療法などの薬物療法、放射線治療などを適切に組み合わせた集学的治療が行われます。診療ガイドラインによって標準治療が普及している一方で、患者さんの年齢や合併症、ライフスタイルや価値観などに合わせた医療が求められる時代となっています。

 乳腺外科では乳腺疾患(主に乳癌)に対して、専門性の高い医療を提供できるように心がけています。20年前から乳腺外科医、放射線診断医、放射線治療医、形成外科医、病理診断医、細胞検査師、放射線科技師、臨床検査部技師など多職種で形成されるCancer boardを編成しています。毎週カンファレンスを行い、すべての患者対して適切な診断や治療方針を決定しています。

 

 

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一 34 0.23%
異なる 17 0.12%
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 54 0.37%
異なる 12 0.08%

 

 医療資源を最も投入した傷病名が播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、その他の真菌感染症、手術・処置等の合併症にあたる症例及び全入院患者に対しての発生率を表しています。入院契機の「同一」は入院の最初から上記の傷病の治療目的での入院であった場合で、例えば敗血症性ショックで救急搬送されるような場合です。「異なる」は別の傷病に対しての治療目的であったが、入院中に上記の傷病が発症したか入院時に併存していたため、その治療が主となった場合を表します。

 

 

リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率

肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが「中」以上の手術を施行した退院患者数(分母) 1,543
分母のうち、肺血栓塞栓症の予防対策が実施された患者数(分子) 1,102
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率 71.42%

 

 

血液培養2セット実施率

血液培養オーダー日数(分母) 4,890
血液培養オーダーが1日に2件以上ある日数(分子) 3,669
血液培養2セット実施率 75.03%

 

 当院の血液培養における2セット採取実施率は2023年が90%で、以前から高い実施率を維持しております。また2023年から血液培養採取時の消毒薬をヘキシジンに変更し、コンタミネーション率の低下に繋がっています。※上記の数字は穿刺液等を含む数字となります。

 

 

広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率

広域スペクトルの抗菌薬が処方された退院患者数(分母) 1,106
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日までの間に細菌培養同定検査が実施された患者数(分子) 942
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率 85.44%

 

 当院では広域スペクトル抗菌薬使用は届出制となっており、耐性菌抑制のための抗菌薬適正使用を実施しています。広域スペクトル抗菌薬投与前に血液培養が採取されているかをICTミーティングでチェックしており、未実施の場合はアラートメッセージを送っています。

 

 

更新履歴

2024.9.30
DPCデータに基づく「病院情報」を公表しました。
2024.10.3
DPCデータに基づく「病院情報」を更新しました。
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