泌尿器科
診療内容

ロボット支援下手術

 当科の特徴として、早期から腹腔鏡下手術を積極的に行っていることが挙げられます。最近ではそれらの経験を生かして、腹腔鏡で行っていた術式のほとんどをロボット支援下手術へ移行しています。腹腔鏡下手術と同様に、小さな傷で侵襲が少ないだけではなく、ロボットの鉗子やカメラによってより繊細な手術が可能となりました。侵襲が少ないため、患者さんは手術の翌日には食事や歩行が可能となります。

 2022年度はロボット支援下で147件の手術を行いました。

ロボット支援下に行っている手術
  • 副腎の手術(ロボット支援下副腎摘除術)
  • 腎臓の手術(ロボット支援下下腎摘除術・腎尿管全摘術・腎部分切除術)
  • 前立腺癌の手術(ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術)
  • 膀胱癌の手術(ロボット支援腹腔鏡下膀胱全摘術)
  • 尿路変更の手術(体腔内回腸導管造設術)
  • 腎盂尿管移行部狭窄症の手術(ロボット支援下腎盂形成術)

 

前立腺癌

 転移のある前立腺癌に対しては、積極的に初期から新規ホルモン治療薬(ザイティガ、イクスタンジ、アーリーダ)を使用しています。内分泌療法が無効になった前立腺癌に対しては、ドセタキセルやカバジタキセルを用いた抗がん化学療法を行っています。

 

膀胱癌

 表在性膀胱癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)は2022年度は175件でした。術後2~3日で退院します。再発予防目的に抗がん剤やBCGの膀胱内注入療法を適宜施行しています。浸潤性膀胱癌に対しては膀胱全摘以外に抗がん剤動注療法・放射線療法の併用で膀胱温存も行っています。

 平成29年度の膀胱全摘症例は7件でした。平成21年以降の症例はすべて腹腔鏡手術で行っています。平成30年4月からは手術支援ロボットda Vinchを用いた膀胱全摘(RALC)を開始しております。

 出血量は少なく、輸血を要する事は稀です。従来の開放手術より術後の回復は早く、早期の退院が可能となります。尿路変向術は尿管皮膚瘻、回腸導管、回腸新膀胱を患者さんと相談しながら選択しています。

 

腎盂尿管癌

 手術はほとんどロボット支援下で行っています。必要に応じて術前後に抗がん化学療法を行い、治療成績の向上を目指しています。

 

腎癌

 最近では超音波検査などで偶然サイズが小さい初期にがんが見つかる場合が多いです。そのような場合、腎機能を温存するために当科では積極的にロボット支援下腎部分切除を行っており、サイズが大きい、埋没しているなど部分切除が通常困難といわれる症例も安全に施行できています。その他の進行症例ではロボット支援下腎摘除や、開放手術を行います。

 腎細胞癌の発見時に転移を伴っている患者さんや術後に再発した患者さんには、免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬、それらを組み合わせた治療を行っています。これらの治療によって転移の縮小が得られた患者さんには、腎摘除などの手術療法を行うことで生存率の改善を図っています。

 

精巣腫瘍

 年間5〜10例。リンパ節転移のある症例では抗がん化学療法を中心に後腹膜リンパ節郭清も必要に応じて行います。

 

前立腺肥大症

 内服治療で効果がなければ手術を考慮します。内視鏡による経尿的前立腺切除術(TURP)を行っています。比較的大きな前立腺肥大症に対しては平成24年からはホルミウムレーザーによる経尿道的前立腺手術(HoLEP)も導入しております。2022年度はTURPとHoLEPを合わせて77件でした。入院期間は約5日となります。

 

尿路結石症

 外来にて体外衝撃波(ESWL)による治療を中心に、必要に応じ内視鏡治療を入院にて行っています。軟性尿管鏡によるレーザー治療も行っています。2022年度は、経尿道的尿管砕石術(TUL)と経皮的腎砕石術(PNL)を合わせて110件でした。

副腎腫瘍

 副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される「クッシング症候群」と呼ばれるものや、「アルドステロン」という血圧を調節(上昇)する物質が過剰に産生される「原発性アルドステロン症」と呼ばれるもの、また副腎髄質という場所の腫瘍では「褐色細胞腫」と言われ、「アドレナリン」という物質が多くなり高血圧を引き起こすものなどがあります。症状をおこさない腫瘍もあります。また稀ですが癌化している場合や、肺癌等他の臓器から癌が転移して腫瘍化している場合もあります。

 高血圧などの症状をおこしている可能性が高い場合や腫瘍が3㎝を越えるような場合には手術を考慮します。ほとんど全例、腹腔鏡手術で行います。年間約8例程度の件数です。

 

男性不妊症

 治療は行っていないため他院に紹介しています。

 

その他の疾患

 その他腎盂尿管移行部狭窄症、膀胱尿管逆流症、腹圧性尿失禁、膀胱瘤、停留精巣、鼠径ヘルニアなどの手術も行っています。

 

ページの先頭へ