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令和2年度(2020年度) 天理よろづ相談所病院 病院指標

 

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

 

 

年齢階級別退院患者数

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 444 188 244 336 729 1,301 2,898 5,293 2,821 469

 

 60歳以降の年代の方が多く、全体の7割を占めています。この年代の方々は複数の疾患を持っておられたり、重症化しやすいといった特徴があります。また、小児では先天性心疾患など慢性疾患が多いのが特徴です。

 

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上)-手術なし-処置2:なし 51 4.88 6.13 1.96% 0.00
040100xxxxx00x 喘息-処置2:なし-副病:なし 30 5.63 6.46 0.00% 3.50
030270xxxxxxxx 上気道炎 22 4.36 4.85 0.00% 2.77
080270xxxx0xxx 食物アレルギー-処置1:なし 22 1.36 2.44 0.00% 4.27
010230xx99x00x てんかん-手術なし-処置2:なし-副病:なし 20 5.20 7.48 0.00% 7.10

 

 当院小児科は、「子どもの総合医」として一般小児科診療を主体に、神経疾患、循環器疾患(小児循環器科として担当)、代謝内分泌疾患、アレルギー疾患などの専門診療を行っております。

 一般小児科診療においては、対象となる疾患の多くは市中感染症で、中でも気道感染症が多数を占めます。そのうち上気道炎(いわゆる風邪)は軽症であることが多く外来で対応可能ですが、一部入院加療を要することがあります。一方肺炎や気管支炎、細気管支炎といった下気道炎/下気道感染においては、感染・炎症の重篤化や呼吸障害を来すことも多く、しばしば入院が必要となります。

 他方、気管支喘息発作も多くは気道感染を契機とし、呼吸障害を来たして入院します。中には下気道感染症と合併したり、両者の区別が困難な患者さんもおられます。このような状況を反映し、常に当科入院患者の上位は気管支喘息および気道感染で占められています。

 ただ、近年、小児医療の進歩、特に肺炎球菌やインフルエンザ桿菌に対する予防接種の普及により、小児の細菌性気道感染症は減少傾向にあります。またステロイドやロイコトルエン拮抗薬などの使用により気管支喘息のコントロールも良好となりました。このため気管支喘息、気道感染による入院患者数は減少傾向です。殊に今回は、新型コロナウイルス感染の防止のための感染対策が功を奏し、小児の気道感染を主とする感染症、及び気道感染を契機とする気管支喘息の患者数が顕著に減少しました。

 代わって今回も、新生児の疾患が当科入院患者の上位に入りました。これには出生直後の呼吸障害や低血糖、黄疸などが含まれ、呼吸障害の場合は何らかの新生児仮死蘇生が必要となります。

 なお、当院にNICUはなく、入院患者は当院出生の新生児がほとんどですが、在胎35週程度、体重2kg弱の赤ちゃんも積極的に受け入れており、状況により院外出生の赤ちゃんも受け入れています。

 今回、上気道炎と並んで食物アレルギーの入院が上位に位置しましたが、これは食物アレルギーの患者さんに対する食物負荷試験を当科が積極的に行うようになり、負荷試験件数が増えたことによります。

 

 

消化器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上)-ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 105 5.15 4.86 0.00% 68.22
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など)-腹腔鏡下胆嚢摘出術等 78 7.12 6.41 0.00% 62.24
060335xx02000x 胆嚢炎等-腹腔鏡下胆嚢摘出術等-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし 66 9.14 7.23 1.52% 69.47
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍-結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等-処置1:なし-副病:なし 62 17.39 16.19 0.00% 72.45
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍-胃切除術 悪性腫瘍手術等 57 18.49 19.04 0.00% 73.56

 

 鼠経ヘルニアとは、足のつけね(鼠径部)に生じたいわゆる脱腸のことで、ヘルニアとは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態をいいます。鼠径ヘルニアは幼小児に多いと思われがちですが、高齢者にも多く発生し、手術以外に治療方法はありません。放置した場合、腸閉塞や腸管壊死を起こすリスクがあり、積極的に治療した方が良い病気です。全身麻酔下に腹腔鏡で修復する方法、脊椎麻酔や局所麻酔下に前方より修復する従来の方法があり、症例により選択しております。

 胆嚢結石症は、胆石発作・急性胆管炎などで発症し、消化器外科や消化器内科で診断・緊急治療を受けた後、胆嚢摘出術を原則、腹腔鏡で行います。

 急性胆嚢炎は急性腹症の一つであり、胆管炎の併発などがなければ、原則、緊急で胆嚢摘出術を行っております。待機的な胆嚢摘出術と同様、多くの場合は腹腔鏡で胆嚢摘出を完了しますが、炎症が強い場合や周囲の癒着が強い時には開腹で摘出せざるを得ない場合があります。

 結腸癌・直腸癌を含めた大腸癌は早期癌・進行癌ともに年々増加しています。早期癌は消化器内科の治療適応になる場合もありますが、進行癌や内科的治療の適応外と判断された場合は手術を行います。ほとんどは腹腔鏡下で切除していますが、最近は直腸癌に対するロボット手術が保険適応となり、ロボット手術も増加傾向です。また、進行癌に対する術前・術後の化学療法も消化器外科で行い、手術を軸とした一貫した集学的治療を行っています。

 胃癌は早期の場合、消化器内科で行うESDと消化器外科で行う腹腔鏡手術の適応が問題になりますが、当院では毎週内科・外科でカンファレンスを行い、胃癌治療のガイドラインに基づいて適切な治療方針を決めています。適応があれば積極的に腹腔鏡を用いて低侵襲な手術を心がけており、ロボットを用いた手術も行っております。進行癌に対する術前・術後の化学療法も消化器外科で行っています。

 

 

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折-人工骨頭挿入術 肩、股等 53 24.55 25.09 79.25% 82.85
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎-脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等-処置2:なし 42 25.50 20.40 38.10% 72.95
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等 34 17.06 23.36 94.12% 74.97
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)-人工関節再置換術等 29 16.55 21.03 100.00% 72.83
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部-脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等-処置1:なし 26 20.23 19.90 23.08% 65.50

 

 腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、頚椎症、成人脊柱変形などの脊椎疾患に対する手術治療、変形性関節症、大腿骨頭壊死などの股関節、膝関節疾患の手術治療、大腿骨近位部骨折、脊椎椎体骨折など高齢者の骨折の治療を行っています。術後は早期にリハビリテーション病院への転院をはかり在院日数を短縮して多くの患者さんに対応できるようにしています。骨折は当院通院中の患者さんを中心に可能な限り受け入れております。

 

 

形成外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)-皮膚悪性腫瘍切除術等-処置2:なし 19 11.21 7.71 5.26% 77.89
090010xx04xxxx 乳房の悪性腫瘍-組織拡張器による再建手術(一連につき) 乳房(再建手術)の場合等 18 4.28 3.10 0.00% 75.67
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。)-その他の手術あり-処置1:なし 13 4.00 4.76 0.00% 37.23
020230xx97x0xx 眼瞼下垂-手術あり-処置2:なし 3.07
070010xx010xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。)-四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等-処置1:なし 5.39

 

 当院では顔面骨・手外傷、体表・顔面先天異常、瘢痕、皮膚・軟部組織良悪性腫瘍、がんなどの手術後の再建、皮膚潰瘍、眼瞼下垂症など幅広く診療しています。症状、根治率、患者さんの希望を考慮して可能な限り侵襲性を少なくしながら、最大限の結果が得られるように手術を行っています。

 また再建術に際しては、機能と外観両方を正常な状態に近づけるように種々工夫をしています。眼瞼下垂症は挙筋前転法、皮膚眼輪筋切除、吊り上げ術を症例に応じて使い分けています。乳房再建はシリコンインプラント、筋皮弁術両者に対応していますが、インプラントが保険適用になって以来多くの患者さんがインプラントを希望されるようになり、インプラントによる再建が右肩上がりになっています。

 良性腫瘍、悪性腫瘍切除は根治と低侵襲を両立できるよう最大限の努力をしています。再建には各種皮弁、植皮など最も機能的、外観的に優れたものを選択しています。

 顔面外傷は顔面骨骨折から軟部組織損傷まで眼球以外の全てを手掛けています。顔面骨の固定にはチタン製の固定材料あるいは生体吸収性の材料を使い分けています。顔面軟部損傷(外傷、熱傷、瘢痕拘縮など)は眼瞼、口唇、鼻、耳介など特殊領域の手術を行っています。

 なお当科では自費での美容外科診療は行っておりません。

 

 

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満)-手術なし-処置1:なし-処置2:なし-副病:なし 64 19.61 18.86 67.19% 70.63
010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤-手術なし-処置1:あり-処置2:なし 49 2.14 3.04 0.00% 61.94
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷-その他の手術あり-処置2:なし-副病:なし 40 4.83 9.68 10.00% 74.88
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷-手術なし-処置2:なし-副病:なし 25 10.76 8.18 28.00% 73.52
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上)-手術なし-処置2:なし 24 23.54 22.35 58.33% 75.08

 

 脳神経外科で取り扱う疾患には、くも膜下出血、脳梗塞、脳内出血に代表される脳血管障害や、脳腫瘍、頭部外傷、脊髄疾患、さらには、癲癇、顔面けいれん、末梢神経障害などの機能脳神経疾患があります。

 近年、急性期脳梗塞に対するrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法、脳血栓回収療法が確立し、その適応が拡大しています。これまで点滴加療しか行えなかった患者様に対し、積極的な再灌流療法を行うことで、良好な予後が得られる症例が増加しています。当院では一次脳卒中センターの認可を受け、救急車の受け入れを積極的に行っていることもあり、脳血管障害の割合が最も多くなっています。

 頻度順1・5位の脳動脈瘤は、くも膜下出血の原因となる疾患です。一旦出血してしまうと予後が悪いことが分かっており、動脈瘤が大きい、不整、お元気な方には予防治療をお勧めしています。開頭顕微鏡下手術(ネッククリッピング術)と血管内手術(コイル塞栓術)を、症例に応じて選択し、最適な治療を目指しています。

 頻度順2・3位の非外傷性頭蓋内血腫(脳出血)には、血圧管理や脳保護薬の投与を行い、早期からリハビリ加療を開始して、機能予後の改善を目指します。

 頻度順4位は、脳梗塞ですが、超急性期におけるrt-PA(アルテプラーゼ)静注療法、血栓回収療法の症例が増加しています。入院後は脳保護薬や抗血栓薬の投与、リハビリ加療を行います。また、再発を予防するため、脳血管評価とともに、脳卒中危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病など)の是正に努めます。脳主幹動脈の狭窄・閉塞が見つかれば、適応に応じて、ステント留置術、頚動脈内膜剥離術、バイパス術をお勧めします。

 

 

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍-手術あり-処置2:なし-副病:なし 176 8.31 10.83 0.57% 70.91
040200xx01x00x 気胸-肺切除術等-処置2:なし-副病:なし 17 8.88 10.08 0.00% 46.82
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 13.30
040010xx01x0xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍-縦隔悪性腫瘍手術等-処置2:なし 9.98
040030xx01xxxx 呼吸器系の良性腫瘍-肺切除術 気管支形成を伴う肺切除等 9.10

 

 呼吸器外科ではDPC分類の最も多い症例は肺悪性腫瘍の手術となっています。肺悪性腫瘍のうち、原発性肺癌手術に関しては、術前検査にて進行度を見極めた上で、病期Ⅰ、Ⅱ期を絶対的適応としますが、縦隔リンパ節転移陽性等のⅢ期進行肺癌症例に対しては、呼吸器内科、放射線科とも連携して、化学療法や放射線療法を併用した集学的治療も行っています。

 転移性肺腫瘍に関しては、原則として原発病巣がコントロールされ、かつ他臓器に転移がなく、肺転移病巣が数箇所以内で完全切除が可能な場合に手術を行います。切除方法は部分切除が原則です。9割以上で内視鏡下手術が行われ、ロボット支援下手術も増加しています。

 2番目に多い症例は気胸です。気胸とは肺の表面に穴が開いて、肺が縮んでしまう病気です。肺に基礎疾患を有していない特発性気胸と、基礎疾患を有する続発性気胸に分類されます。原則的に安静や脱気・ドレナージ治療後の再発症例を対象に手術を行っていますが、両側同時発症や反対側の気胸の既往がある場合などは、初回発症でも手術を行います。殆どの症例で小切開による胸腔鏡下手術が行われています。

 3番目に多い症例は、肺悪性腫瘍に対し手術も化学療法も行わない症例です。これらの中には、終末期医療も含まれます。

 4番目に多い症例は、縦隔腫瘍に対する手術です。縦隔腫瘍の内、最も多い疾患は胸腺関連腫瘍です。多くの手術は内視鏡下で行われ、最近ではロボット支援下手術の割合が高くなっています。

 5番目に多い症例は、良性肺腫瘤に対する手術です。悪性腫瘍を疑って手術を行ったが結果的に良性であった症例も含みます。

 

 

心臓血管外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050163xx03x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-ステントグラフト内挿術-処置2:1あり 36 15.94 15.88 2.78% 76.86
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。)-ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等-処置1:なし-処置2:1あり 29 26.93 22.56 6.90% 65.03
050161xx97x1xx 解離性大動脈瘤-その他の手術あり-処置2:1あり 14 32.29 29.23 57.14% 73.64
050163xx02x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤-大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む。) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等-処置2:1あり 14 23.43 19.98 7.14% 71.79
050161xx9901xx 解離性大動脈瘤-手術なし-処置1:なし-処置2:1あり 11 21.18 21.51 18.18% 71.09

 

 心臓血管外科ではDPC分類の最も多い症例は非破裂性大動脈瘤に対するステントグラフトによる血管内治療であります。近年、対象患者の高齢化に伴い、非破裂性大動脈瘤に対する開胸もしくは開腹手術が困難な症例が増加しており、低侵襲であるステントグラフトの需要が増えたものと考えられました。

 次に多い症例は手術を要する弁膜症となっております。前述の動脈瘤症例と同様に高齢者を中心として手術治療を必要とする弁膜症症例は増加傾向にあり、大動脈弁狭窄症においては生体弁よる人工弁置換術を、僧帽弁閉鎖不全症においては僧帽弁形成術を行っております。

 次に多い症例は急性大動脈解離に対する手術症例であります。多くは急性A型解離による緊急手術症例ではありますが、手術待機時間の短縮や早期補助手段の工夫により良好な手術成績を確立しております。

 次に多い症例は非破裂性大動脈瘤に対する開腹操作による動脈瘤切除および人工血管置換術であります。ステントグラフト留置に比べ再手術を含めた長期遠隔成績に優れており、開腹操作が可能な比較的若年層に対してはこの術式が第1選択となっております。

 最後は急性大動脈解離のなかでも血圧コントロールが治療の第1選択となるスタンフォード分類によるB型大動脈解離であります。これは上行大動脈に解離所見を認めないもので、解離による分枝の血流異常や破裂もしくは切迫破裂を認めない限り、手術の必要性はありません。

 

 

産婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍-手術なし-処置2:4あり-副病:なし 97 5.20 4.44 0.00% 65.21
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍-卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 50 6.66 6.16 0.00% 45.58
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍-腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 42 7.00 6.10 0.00% 45.02
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍-子宮悪性腫瘍手術等-処置2:なし 37 16.24 11.96 0.00% 59.76
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍-手術なし-処置2:5あり-副病:なし 33 3.91 4.34 0.00% 58.97

 

 当科では産科における分娩、婦人科における良性腫瘍、悪性腫瘍の治療を積極的に行っています。婦人科良性腫瘍では腹腔鏡下⼿術が積極的に取り入れられています。子宮頸がん、⼦宮体がん、卵巣がんといった婦⼈科悪性腫瘍の治療では手術療法に加え、抗がん薬や分子標的薬を⽤いる化学療法を積極的に⾏っており、治療薬の種類や患者さんのご希望に応じて外来または入院しての化学療法を選択していただいています。

 

 

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患-手術あり-片眼 506 3.01 2.76 0.00% 73.26
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患-手術あり-両眼 394 5.09 4.95 0.00% 75.13
020200xx9710xx 黄斑、後極変性-手術あり-処置1:あり-処置2:なし 130 6.59 6.49 0.00% 69.70
020160xx97xxx0 網膜剥離-手術あり-片眼 116 12.02 8.97 0.00% 57.85
020220xx01xxx0 緑内障-緑内障手術 濾過手術-片眼 74 8.81 9.79 0.00% 71.58

 

 白内障は霧視や視力低下を症状としています。初期は今までの眼鏡が合わなくなったり、夜のヘッドライトが眩しく感じることがあります。加齢と共に増加しますので、見にくいと感じれば受診をお勧めします。

 最近は加齢黄斑変性症や糖尿病黄斑症、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、黄斑前膜、黄斑円孔、黄斑分離症などの黄斑疾患が増加しております。黄斑は網膜の中心で、その障害は視力低下に直結するため、中心視野の歪みや暗点に気づけば早期の受診をお勧めします。

 飛蚊症を初発症状とする、網膜剥離は視野が急激に欠損することで気がつくことが多い疾患です。数日のうちに視力低下が進行し、放置すれば失明に至る疾患です。早期の手術が必要です。

 緑内障は失明原因の第一の疾患です。急激に痛みを感じて見えなくなる急性緑内障とほとんど症状がなくゆっくり進行する慢性緑内障に分けられます。緑内障の9割は慢性緑内障で、初期には症状が出にくく気付きにくい疾患です。片眼のみで見ると早期の異常を見つけることがあります。

 

 

耳鼻咽喉科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍-甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの)等-処置1:なし 60 8.02 8.50 0.00% 62.02
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 55 7.11 6.71 0.00% 50.56
100130xx97x0xx 甲状腺の良性結節-手術あり-処置2:なし 54 7.70 7.34 0.00% 57.46
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍-手術あり 51 7.37 7.20 0.00% 64.06
030440xx01xxxx 慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫-鼓室形成手術 51 7.77 7.52 0.00% 57.94

 

 耳鼻咽喉科でのDPC分類の多い疾患は、1位は甲状腺の悪性腫瘍、2位は慢性副鼻腔炎、3位は甲状腺の良性結節、4位は耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍、5位は慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫となっており、耳・鼻を含め頭頸部腫瘍まで様々な領域の疾患に対応します。奈良県全般および三重県伊賀地方の耳鼻咽喉科の基幹病院として病院・診療所からの信頼も厚く、多くの入院手術治療を行っています。

 慢性副鼻腔炎は鼻腔周囲の鼻腔と交通のある副鼻腔(上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞)に慢性の炎症を来す疾患です。症状は鼻汁(特に膿性鼻汁)、鼻閉、顔面や眼周囲の痛み・違和感などです。重症化すると、視力低下や複視といった眼の症状や頭痛なども起こります。軽症例などは投薬や鼻副鼻腔処置による保存治療で改善しますが、保存治療で改善しない場合や重症例では手術(内視鏡下鼻副鼻腔⼿術)による治療が必要となります。

 甲状腺の悪性腫瘍(甲状腺癌)や良性腫瘍(良性結節)については、当科では専門性の高い治療を行っております。腫瘍が大きくなったり頸部リンパ節に転移したりして初めて前頸部や側頸部にしこりを触れて受診する方もいますが、検診などで小さい腫瘍が指摘されて紹介受診されることもあります。甲状腺悪性腫瘍手術では、術前に頸部エコー、CT、穿刺吸引細胞診などで正確に病期診断し、最小限かつ必要な範囲の切除にとどめ機能障害の軽減を目指しており、良好な治療成績を得ております。良性腫瘍手術では体への負担を減らすべく、核出術や小切開手術などにも取り組んでおります。

 慢性化膿性中耳炎の主な症状は、難聴、耳漏で、重症な場合はめまい、顔面神経麻痺、髄膜炎併発による頭痛なども起こります。慢性の炎症により鼓膜穿孔がある場合が多く、また鼓室にある耳小骨が消失していることもあります。中耳真珠腫は鼓膜の⼀部が鼓室側に陥凹して炎症の塊を作り、耳小骨などの骨を破壊しながらまるで腫瘍のように中耳の中で増大していく疾患です。真珠腫により耳小骨が破壊されると難聴を自覚しますし、感染を伴えば耳漏を認めます。慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫とも、通常は保存治療で改善することは難しく、手術(鼓室形成術)による治療が必要となります。当科での慢性化膿性中耳炎・中耳真珠腫の入院手術件数は、全国でみてもトップクラスです。

 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍は、頭頸部領域に発生した腫瘍のことで、腫瘍の治療は多くの場合切除術となります。その中でも大唾液腺である耳下腺、顎下腺から発生する耳下腺腫瘍、顎下腺腫瘍に対する切除術を当院では多く手掛けています。唾液腺腫瘍は良性腫瘍であることが多いのですが、⼀部に悪性腫瘍も含まれます。術前検査としてCTやエコーなどの画像診断と細胞診を行います。細胞診による唾液腺悪性腫瘍の診断は、特異度はよいものの感度があまりよくないため、その確実な診断と治療は手術となります。従って、大唾液腺腫瘍は多くの場合、手術治療を行います。当科での手術件数は全国でもトップクラスであり、短時間で安全で合併症の少ない手術を行っています。

 頭頸部の悪性腫瘍、つまり頭頸部がんについては地域がん診療連携拠点病院として、また日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医指定研修施設として専門性が高いだけでなく、患者の視点に立った医療を提供しています。頭頸部がんは、治すだけでなく機能温存や外観の維持も重要な要因となりますが、⼀般に手術治療では多少なりとも機能障害が出現します。一方放射線治療が中心となる治療でも唾液減少や疼痛、嚥下障害などの障害が残ることもあります。がんを治すということはもちろん治療後の生活も考慮したうえで、どのようながんでも手術で摘出するというような方針ではなく、耳鼻咽喉科内での検討はもちろん、放射線科と密に連携を取った上で治療方針を検討しています。

 

 

脳神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010160xx99x00x パーキンソン病-手術なし-処置2:なし-副病:なし 70 11.81 17.72 6.96% 74.43
010060×2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)-手術なし-処置1:なし-処置2:2あり-副病:なし-発症前Rankin Scale 0、1又は2 62 17.31 15.54 33.87% 72.97
010110xxxxx4xx 免疫介在性・炎症性ニューロパチー-処置2:4あり 50 21.18 16.95 12.00% 64.92
010230xx99x00x てんかん-手術なし-処置2:なし-副病:なし 42 12.14 7.48 7.14% 65.62
010060×2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)-手術なし-処置1:なし-処置2:4あり-副病:なし-発症前Rankin Scale 0、1又は2 37 18.14 15.64 29.73% 69.35

 

 脳神経内科では、迅速な対応が必要な急性期脳卒中(主として脳梗塞)から、在宅医療との緊密な連携が必要な神経難病まで、広範囲な領域の脳神経疾患を担当しています。

 入院疾病では、パーキンソン病、急性期脳梗塞、免疫介在性・炎症性ニューロパチー、てんかんが上位を占めています。脳神経外科と協同して脳卒中センターを運営し、t-PA血栓溶解療法や血栓回収療法といった脳梗塞の超急性期治療を行っています。

 神経難病のパーキンソン病では、正確な診断、症状変動期の薬剤調整、合併症の治療、生活指導など個々の患者に対応した治療、ケアが必要になるために入院頂いています。

 慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチーなどの神経免疫疾患では、再発寛解を繰り返し、増悪した場合には、大量免疫グロブリン療法、ステロイドパルス療法、血漿交換療法などを行っています。

 てんかん重積発作では、初期には集中治療室での加療が必要なことが多く、多くのメディカルスタッフと協力し、治療を行っています。

 

 

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症-処置1:なし 12 11.42 12.87 0.00% 61.00
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 9.12
080190xxxxxxxx 脱毛症 3.38
080100xxxx0xxx 薬疹、中毒疹-処置1:なし 11.29
080030xxxxxxxx 疱疹(帯状疱疹を除く。)、その類症 7.98

 

  1. 蜂巣炎、丹毒、痂皮性膿痂疹などの膿皮症(細菌性⽪膚軟部組織感染症)の⼊院患者の患部は下肢に多く、また基礎疾患として、糖尿病、静脈うっ滞、肥満、喫煙、偏った生活習慣、足白癬の合併などが伴う場合が多く、生活習慣が改善しない患者は再発を繰り返します。⼊院治療では安静とともに局所処置、抗生物質の全身投与を行います。抗⽣物質はその選択に注意を払い、漫然と広範囲スペクトラムの薬剤は最初からは使⽤せずβラクタム系抗⽣物質の使⽤を主に⾏います。⾎液培養を⾏い耐性菌が検出された場合や重症の壊死性筋膜炎では、迅速に適応薬剤に変更します。多くの場合、⼊院期間は軽傷では約1~2週間です。
  2. 帯状疱疹:近年の新規抗ウイルス薬の効果は高く、帯状疱疹は基本的に外来通院で内服薬や外用薬で加療できます。しかし免疫不全や糖尿病などの基礎疾患がある場合や、顔面など整容的に問題のある部位に⽣じた帯状疱疹については、約1週間の入院加療を行い抗ウイルス薬の点滴投与を行います。
  3. 脱毛症:当科では重症難治性の脱毛症に対してステロイドパルス療法を行っております。効果は患者により異なり、根治的治療ではなく治療後も再発する場合や副作用がある点は要注意です。1泊2日もしくは2泊3日の入院で治療を行います。
  4. 薬疹・中毒疹:全身の中毒疹のうち薬物が原因と特定できたものが薬疹としますが原因不明の中毒疹も多く対応には難渋します。特に高齢者の薬疹は、高齢化と共に多くの医療機関を患者が受診し多数の薬剤を服用する、いわゆるポリファーマシーの患者は増えています。重症化した場合、薬疹は致死的な場合もあり、よかれと思って投与された薬物で命を落とす場合があることを医療者も患者も理解すべきです。各科医師がもっと高齢者へのポリファーマシーの危険性を理解し、また患者側にも安易なドクターショッピングを避ける意識が、国を挙げて今後検討すべき大きな問題と考えています。
  5. 水疱症:尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡などの自己免疫性水疱症は高齢者に多い経過の長い皮膚疾患です。重症では全身に水疱が拡大し皮膚が欠損した部位から体液の漏出や感染の併発など全身に影響する場合があります。基本的にはステロイド剤の全身投与と局所処置で治療しますが、状況によってはステロイドパルス療法や、ガンマグロブリン大量療法、腎透析科に依頼し血漿交換療法などを入院で行う場合があります。

 

 

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍-膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術-処置2:なし 202 5.15 7.13 0.00% 74.85
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:あり 167 2.26 2.54 0.00% 71.75
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍-前立腺悪性腫瘍手術等 102 12.32 11.89 0.00% 70.21
11012xxx020x0x 上部尿路疾患-経尿道的尿路結石除去術-処置1:なし-副病:なし 73 5.77 5.67 1.37% 62.63
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等-経尿道的前立腺手術等 60 8.03 8.52 0.00% 76.93

 

 当科では尿路性器癌(前立腺癌、膀胱癌、腎盂尿管癌、腎癌、精巣癌等)、前立腺肥⼤症、副腎腫瘍、尿路結⽯症、尿路通過障害、尿路感染症、⼩児ならびに婦⼈泌尿器科疾患等の治療を行っています。 ⼊院患者の多くは手術を受ける患者さんであり、手術のほとんどは腹腔鏡等の内視鏡で行い、最近ではダヴィンチというロボットを使⽤しての手術も行っています。現在までに2,000件以上の腹腔鏡手術を行っており、スタッフの多くは腹腔鏡技術認定医で、安全で確実な手術を実践しています。

 当科⼊院患者数の最も多いのは前立腺癌の手術です。これは前立腺全摘除術といって多くは開腹手術で行われていた手術です。ただ当科では2000年1⽉より全国に先駆けて腹腔鏡手術を開始し、2014年2⽉からはダヴィンチというロボットを⽤いた腹腔鏡手術を始めています。腹腔鏡手術では850件、ロボットを⽤いた手術は現在までに約700件と計1,500件以上の手術を行ってきました。その経験もあり2時間程度の手術時間で、ほとんど出⾎のない手術が可能となりました。治療成績も開腹手術と⽐べても遜⾊ありません。現在は、神経温存手術を積極的に行っており、その影響か尿失禁も以前の腹腔鏡手術より⼤幅に改善しています。またこれらの実績が評価され2015年7⽉からはダヴィンチの⾒学施設に認定されています。現在では、腎部分切除術もロボットを⽤いて行っており、従来なら腎臓を摘出していたような⽅にも部分切除で腎を温存することが可能になってきました。

 次に、膀胱癌ですが、ほとんどはTURという内視鏡の手術で行っています。なるべく膀胱は温存しようと考えていますので、膀胱全摘除術は年に10件前後とそんなに多くはありません。ただ膀胱全摘除術する場合にも、ロボットを使⽤した手術を行っています。手術時間は開腹手術と変わらず、出⾎量は少なく、術後の回復も早い⾮常にメリットの多い手術です。膀胱を摘出した場合には、腸管を使って尿路変更を行います。従来は⼩切開による開腹手術で行っていましたが、現在は、この手術もロボットを⽤いて体内で行う様にしています。

 尿路結⽯に対しては内視鏡を⽤いレーザーで砕⽯を行っています。前立腺肥⼤症に対しても内視鏡的にレーザーを⽤いたHoLEPという治療を導⼊しています。前立腺肥⼤症や前⽴腺癌の⽅には鼠蹊ヘルニアを合併する場合が多く⾒られます。このような⽅にもメッシュプラグを⽤いた手術を行っています。

 以上のような外科的な治療だけではなく抗がん剤や分⼦標的薬、オプジーボのような薬剤を⽤いた化学療法も行っており、膀胱癌を始めとする尿路上⽪癌や前立腺癌、腎癌、精巣腫瘍に対して行っています。

 

 

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:4あり-副病:なし 210 8.44 9.42 0.48% 72.08
040110xxxxx0xx 間質性肺炎-処置2:なし 155 17.59 18.61 3.23% 72.66
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:あり-処置2:なし 102 3.78 3.39 0.00% 73.15
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置2:なし 97 16.72 20.51 13.40% 81.14
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 62 11.60 13.30 8.06% 75.18

 

 呼吸器内科では、肺癌に関する入院が1位、3位、5位を占めています。肺癌の診断や治療には⾼度の専⾨的診療を要するため、当科への紹介が多くなっています。

 具体的には、1位は、肺癌診断後の内科的治療の中⼼である化学療法(いわゆる抗がん剤)を行うための入院です。3位は、肺癌診断のための検査⼊院(主に気管支鏡検査)です。この検査とその結果により治療⽅針を決定していきます。5位は肺癌に伴う様々な病状による入院となっております。

 2位は、間質性肺炎に関連する入院です。間質性肺炎の診断、治療、ケアにおきましても、専門性の高い知識と経験を要するため、奈良県内外からの紹介が多くなっております。

 4位には、⾼齢化社会を反映して、誤嚥性肺炎が入っています。患者数も多いですが、同じ患者さんが繰り返し発症することもあります。

 

 

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈-経皮的カテーテル心筋焼灼術-処置2:なし 316 5.89 4.95 0.63% 67.62
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-経皮的冠動脈形成術等-処置1:なし、1,2あり-処置2:なし 232 5.56 4.44 0.00% 71.71
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患-手術なし-処置1:1あり-処置2:なし 136 3.33 3.07 0.74% 70.73
050130xx9900xx 心不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 133 16.27 17.23 21.05% 84.36
050210xx97000x 徐脈性不整脈-手術あり-処置1:なし、1,3あり-処置2:なし-副病:なし 102 12.62 10.56 3.92% 77.19

 

 生活様式の欧米化や⾼齢化にともない、動脈硬化性疾患(⼼⾎管系疾患、脳⾎管障害など)は増加しています。その中でも狭⼼症・⼼筋梗塞などの虚⾎性⼼疾患や、⼼臓に⽣じるリズムの異常である不整脈が増えています。また⾼齢化社会到来に伴い⼼不全による⼊院も増加しています。当科では虚⾎性⼼疾患に対する冠動脈造影検査や冠動脈狭窄病変に対する経⽪的冠動脈形成術、そして不整脈へのアブレーション治療を数多く⾏っています。それぞれについて簡単に説明します。

  1. ⼼房細動経⽪的カテーテル⼼筋焼灼術施⾏
     正常な⼼臓は安静時には1秒間に約1回のペースで規則正しく収縮していますが、⼼房細動とはそんなリズミカルな拍動が失われる代表的な不整脈です。⼼房細動は⾼齢化とともに急速に増加している不整脈です。⾃覚症状として脈の乱れ、動悸、胸部不快があります。放置すると⼼臓の中に⾎栓ができて、脳梗塞などの⾎栓症の原因となります。最近では⼼房細動もカテーテル・アブレーションで治療可能となっています。⾼齢の⽅でも症状の強い場合は治療を⾏います。カテーテル・アブレーションは、カテーテルという管を⼼臓内に⼊れて、不整脈の原因となっている部分に通電を加えて焼灼する治療法で、技術・器具の進歩もあり治療成績が向上しています。
  2. 狭⼼症経⽪的冠動脈ステント留置術施⾏
     心筋を養う冠動脈の内腔が狭くなって、⼼臓の筋⾁に十分な血液が流れなくなる病気を狭⼼症といいます。⼼臓に必要なだけの栄養と酸素が不⾜すると、⼼筋は正常に働けなくなります。この時に患者さんは胸が締め付けられるような痛みを感じます。これが狭⼼症の発作です。この流れが悪くなった冠動脈を内側から拡張し⾎流を改善する⽅法に冠動脈ステント留置術があります。ステントは拡張することができる網⽬状の⼩さな⾦属製の筒です。ステンレススチールやコバルト合⾦などの⾦属でできています。⼩さなバルーンに取り付けたステントを冠動脈内で拡張し動脈硬化で狭窄を⽣じた⾎管壁に押しつけて拡張し⾎流を回復します。狭⼼症に代表される虚⾎性⼼疾患の治療として確⽴した⽅法で、循環器内科でも多くの患者さんに治療を⾏っています。
  3. 狭⼼症⼼臓カテーテル法施⾏
     狭心症は虚血性心疾患の代表です。虚⾎性⼼疾患の診断を正しく⾏い治療⽅針をたてるためには冠動脈の状態を正確に評価することが⼤切です。その⽅法が⼼臓カテーテル法です。冠動脈ステント留置術やバイパス⼿術の適応を判断するためには必須の検査法です。虚⾎性⼼疾患の増加にともない、この検査のための⼊院件数も増加しています。
  4. ⼼不全による⼊院への検査・治療
     心不全は、心臓のポンプとしての働きが低下し、腎臓や肝臓を含めた主要な臓器に⼗分な血液を供給することができなくなり、また肺や全⾝に血液が滞る状態(うっ⾎)をいいます。心不全の主な原因としては、弁膜症や⾼血圧、⼼筋梗塞あるいは心筋症、不整脈といった疾患があります。心不全を悪化させないためには、原因を解明するための検査を⾏い、適切な治療や対策を早期に⾏うことが重要です。
  5. ペースメーカー移植術
     現時点で徐脈性不整脈を安全かつ確実に治す内服薬はありません。ペースメーカーは⼼臓の筋⾁に電気刺激を与えることで、⽣体に必要な⼼収縮を発⽣させる医療機器です。弱ってしまった⼼臓の電気システムの⼀部を機械に代⽤してもらうペースメーカーが最も安全で確実な治療法となります。

 

 

腎透析科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-動脈形成術、吻合術 その他の動脈等-処置2:なし-副病:なし 35 5.06 8.15 2.86% 70.74
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:なし-処置2:1あり 18 13.33 14.01 5.56% 63.50
110280xx97x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-その他の手術あり-処置2:1あり 11 15.18 24.80 0.00% 69.73
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 10 10.30 11.04 0.00% 77.90
110280xx03x10x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全-内シャント血栓除去術等-処置2:1あり-副病:なし 16.22

 

 当科は慢性腎不全患者さんの血液透析導⼊およびシャント作成、シャントトラブル対応、腹膜透析導⼊、腹膜透析関連合併症を中⼼に診療を⾏っています。

 内シャント作成は⾃⼰⾎管、⼈⼯⾎管両⽅の⼿術に対応しており、他院で⾎液透析中の⽅で内シャントの狭窄、閉塞などのトラブルが発⽣した症例もご紹介いただき、⽇帰り⼿術として経⽪的⾎管拡張術を⾏っています。

 また、当院では腹膜透析から透析を導⼊する⽅法が慢性腎不全患者さんの⽣命予後に資するという考えのもと積極的に腹膜透析の導⼊を⾏っております。

 入院症例では、腹膜透析の導入、または腹膜炎などの腹膜透析合併症治療や、⼈⼯⾎管内シャントや⾃⼰⾎管内シャント造設⽬的の⼊院、シャントをすでに作成しており、⾎液透析を導⼊する症例、⾎液透析⽤のシャント狭窄や閉塞に対し⼊院治療する症例、等となっております。

 手術では⾃⼰⾎管による内シャント造設術、⼈⼯⾎管による内シャント造設術、腹膜透析カテーテル留置術および抜去術、感染した⼈⼯⾎管内シャントの抜去⼿術等を入院で行っており、シャントの経皮的血管拡張術は主に日帰り手術で行っております。

 

 

内分泌内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-処置2:1あり 71 13.45 14.60 0.00% 66.55
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-処置2:なし 31 10.68 11.26 0.00% 62.71
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡-処置2:なし-副病:なし 16 12.63 13.33 0.00% 61.75
10006xxxxxx1xx 1型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)-処置2:1あり 13 13.31 13.57 0.00% 65.46
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症-手術なし 13.00

 

 内分泌内科の専⾨領域は糖尿病や脂質異常、そして甲状腺をはじめとする内分泌臓器の機能異常などを含む内分泌・代謝疾患です。

 生活習慣病や慢性疾患に類する疾患が中⼼であることから外来診療が中⼼となります。⼊院症例の大多数を占めるのは、2型そして1型糖尿病の⾎糖コントロールや合併症治療(糖尿病ケトアシドーシス、⾼⾎糖⾼浸透圧症候群、感染症)、そしてインスリンポンプを含む種々のインスリン治療の導入や調整を⽬的とした入院です。この中には、外科系診療科の術前コントロールあるいは化学療法等で使⽤するステロイドホルモンによる⾼⾎糖に対する治療も含まれます。1~2週間の⼊院中に、糖尿病療養指導⼠(CDE)の資格をもったスタッフを中⼼に糖尿病⾃⼰管理教育と療養指導が⾏われます。

 

 

血液内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫-手術なし-処置2:4あり 79 16.76 11.14 0.00% 70.87
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫-手術あり-処置2:4あり-副病:なし 42 31.05 25.58 0.00% 67.81
130010xx97x2xx 急性白血病-手術あり-処置2:2あり 21 37.76 38.35 4.76% 68.10
130030xx99x3xx 非ホジキンリンパ腫-手術なし-処置2:3あり 21 13.24 16.62 0.00% 68.19
130030xx97x3xx 非ホジキンリンパ腫-手術あり-処置2:3あり 17 32.71 30.79 0.00% 66.06

 

 血液内科は、血液のがん(急性⽩血病、慢性⽩血病、⾻髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性⾻髄腫)、造血不全または難治性の貧⾎(再⽣不良性貧⾎、⾻髄異形成症候群の⼀部)、⾎⼩板減少症(特発性⾎⼩板減少性紫斑病)などの⾎液疾患の診療を担当します。

 ⾎液のがんは「造⾎器腫瘍」ともよばれ、抗がん剤を⽤いた化学療法が奏功します。最も多い疾患は悪性リンパ腫です。悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と⾮ホジキンリンパ腫に分類され、後者はさらにB細胞性とT細胞性に分類されます。⼀⽅、低悪性度・中悪性度・⾼悪性度の3段階に分類したり、リンパ臓器に発⽣する「節性」とリンパ臓器以外に発⽣する「節外性」に分類したりします。これらの分類と、ポジトロンエミッショントモグラフィーを⽤いた病期診断に基づいて治療法を決定します。最も頻度の⾼い中悪性度B細胞性リンパ腫ではR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロフォスファミド、アドリアマイシン、オンコビン、プレドニンの5剤の併⽤療法)、低悪性度B細胞性リンパ腫ではBRまたはBG療法(ベンダムスチン、リツキシマブまたはオビヌツズマブの2剤)を選択します。これら化学療法の第1サイクルは⼊院で実施しますが、第2サイクル以降は外来化学療法室で実施します。ご⾼齢の患者さんには投与量を減量します。⾼悪性度リンパ腫には多剤を短期間に集中投与する治療法を実施します。中枢神経再発予防のために⾼⽤量のメトトレキセートを投与することもあります。再発・難治性や⾼リスクの患者さんには、⾃家造⾎幹細胞移植を併⽤した⾼⽤量化学療法を実施します。

 次に頻度の⾼い疾患は急性⽩⾎病です。急性⽩⾎病は⾻髄性⽩⾎病とリンパ性⽩⾎病に分類されますが、成⼈では前者が⼤半です。近年では、⾻髄異形成症候群から進展するタイプや、過去の抗がん剤治療や放射線治療が原因で発症する治療関連⽩⾎病が増えています。急性⽩⾎病の治療は、寛解導⼊療法と地固め療法によって⽩⾎病細胞を根絶することを⽬標にします。抗がん剤は点滴投与しますが、⼀部の病型では内服薬を併⽤します。治療によって寛解状態に⾄れば、造⾎は回復し、⽇常⽣活・社会⽣活に⽀障をきたすことはありません。治療期間中はクリーンルームに収容し、感染症管理・治療などの補助療法を合わせて実施します。⼀⽅、⽩⾎病細胞が多くない場合やご⾼齢の患者さんにはアザシチジン単独またはベネトクラクスとの併用療法が奏効することがあります。急性⽩⾎病の再発リスクの⾼い患者さんや、第2寛解期の患者さんに対しては、同種造⾎幹細胞移植を実施します。移植ドナーは⾎縁者、⾮⾎縁者(⾻髄バンク)、臍帯⾎から選択します。従来、移植ドナーはヒト⽩⾎球抗原(HLA)が適合する必要がありましたが、今⽇ではHLA半合致の⾎縁ドナーからも安全に移植することができます(ハプロ移植とよばれます)。同種造⾎幹細胞移植は、⾎液内科医師だけでなく、全⾝放射線照射を担当する放射線科医師・技師、⽇々の看護業務を担当する看護師、免疫抑制剤や抗⽣物質の調整を担当する薬剤師、社会復帰に向けて⾝体能⼒の向上を担当する理学療法⼠、⾎液検査や造⾎幹細胞の保存を担当する検査技師などの多職種の協⼒がなければ成り⽴ちません。当院では、造⾎幹細胞移植治療にかかわる医療者と定期的なカンファレンスを⾏い、質の⾼い医療を実践することを常に全員が⼼がけています。

 多発性⾻髄腫は、免疫グロブリンを産⽣する形質細胞ががん化した疾患で、貧⾎、⾻病変、腎障害、⾼カルシウム⾎症などの多彩な症状をきたします。近年、本疾患に対する新薬が次々に開発されました。初発の患者さんには、主に、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾン、ダラツズマブから、2剤または3剤を組み合わせた治療法を選択します。65歳以下の患者さんには⾃家造⾎幹細胞移植を併⽤して⾼⽤量のメルファランを投与します。再発・治療抵抗性の患者さんには、ダラツズマブ、エロツズマブ、ポマリドミド、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ、パノビノスタットが承認されています。これらの治療によって、多発性⾻髄腫の治療成績は著しく向上しています。

 

 

消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎-限局性腹腔膿瘍手術等-処置2:なし-副病:なし 185 10.89 9.53 1.08% 76.61
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。)-内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 172 2.36 2.66 0.00% 69.27
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍-内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 132 8.71 8.11 0.00% 72.41
060050xx030xxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。)-肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)等-処置1:なし 41 5.10 7.96 0.00% 76.95
060010xx02xx0x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。)-内視鏡的食道粘膜切除術等-副病:なし 37 8.43 9.68 0.00% 71.97

 

 胆管結⽯や胆管炎は以前から多い疾患ですが、⾼齢化とともに有病率が上昇しています。結石の周囲に細菌が増殖して重篤になると致命的となりうる疾患ですが、適切な時期に内視鏡を挿⼊し、チューブを留置あるいは結⽯を除去することで、低侵襲で速やかに病態の改善を実現しています。

 ⼤腸ポリープに対する内視鏡的粘膜切除術の⽬的は、前癌病変および早期癌の低侵襲治療です。内視鏡を⾏うことで⼤腸癌を早期あるいは前癌状態で発⾒し、2⽇程度の⼊院で治療を⾏っています。また、胃の悪性腫瘍に対する内視鏡的切除も同様に低侵襲な処置ですが、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を⾏うことで径数㎝にも及ぶ⼤きな病変を外科⼿術することなく根治することが可能です。こちらは1週間程度の⼊院が必要となります。

 肝の悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法(RFA)は、⼤きさ、数などの条件を満たせば外科的な肝切除と同等の治療効果が得られる低侵襲治療です。肝発癌のリスクの⾼い⼈に対して定期的な画像検査を⾏って、癌をできるだけ⼩さな状態で発⾒・診断し、可能な⽅にはこの低侵襲治療を⾏っています。なお、肝の悪性腫瘍に対する治療⽅針も、院内各科のメンバーが⼀堂に会し、討議の上で患者さんに最適な治療法を選択しています。

 食道の悪性腫瘍に対する治療は、手術、抗癌剤、放射線治療が中心となりますが、他の消化器臓器と異なり胸部にあることから手術侵襲が比較的大きくなること、放射線治療の効果が高いことから、放射線化学療法を選択する症例も多くなっています。当院では、内科・外科・放射線科が討議の上で患者さんに最良と思われる治療法をご提案しています。

 

 

総合内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症-手術なし 87 12.70 13.00 13.79% 77.09
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置2:なし 74 17.45 20.51 29.73% 83.93
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患-手術なし-処置2:なし-副病:なし 63 20.03 15.28 6.35% 65.75
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害-手術なし 31 11.03 10.33 12.90% 77.32
050130xx9900xx 心不全-手術なし-処置1:なし-処置2:なし 24 15.88 17.23 4.17% 81.67

 

 社会の高齢化が進む中で、当科でも高齢患者さんの入院が増加しています。その中で、入院の原因疾患としては、例年肺炎と尿路感染症が最も多いものです。ここ1年間、当科に入院となった原因疾患の順は以下のとおりでした。

  1. 尿路感染症
  2. 誤嚥性肺炎
  3. 自己免疫疾患
  4. 電解質異常
  5. 心不全

 今年最も頻度が多かったものは尿路感染症です。⾼齢者の発熱や炎症性疾患では、肺炎とともによく⾒られる疾患です。代表的なものは、腎盂腎炎です。悪寒、戦慄をきたし高熱の原因となります。

 第2番は誤嚥性肺炎です。肺炎は、悪性腫瘍、⼼疾患、老衰、脳血管疾患についで死亡原因の5位となっています。70歳以上の⾼齢者では、その原因の多くは誤嚥性肺炎です。

 第3番は、自己免疫疾患、いわゆる膠原病として⼀般に呼ばれる疾患です。全⾝性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性筋炎、強⽪症、全⾝性⾎管炎などが具体的な疾患名です。奈良県下では、これらの疾患の診療を展開する病院が少ないなか、当院は専門医療機関の⼀つとなっています。

 第4番は、電解質異常でした。これは、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの電解質が、正常値から逸脱し、体調の変異をきたすものです。たとえば、ナトリウムでは、低値になると意識障害、血圧低下などきたします。カリウムも、高値になると、不整脈をきたし生命にかかわる場合もあります。

 5番目は、心不全です。もともと心臓に異常があれば、ふつうは循環器内科に入院されますが、原因不明の体調不良で入院されたのちに、心不全が明らかになり、総合内科に入院となる場合があります。現在は、心不全パンデミックといわれ、心不全の患者さんが増加しています。

 

 

乳腺外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等-処置1:なし 105 9.58 10.30 0.00% 62.76
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍-乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 24 6.38 6.02 0.00% 61.83
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍-手術あり 4.13
130030xx97x00x 非ホジキンリンパ腫-手術あり-処置2:なし-副病:なし 8.20
010010xx9903xx 脳腫瘍-手術なし-処置1:なし-処置2:3あり 17.29

 

 1位と2位は乳癌に対する⼿術のための入院です。乳癌は化学療法やホルモン療法、分子標的治療薬などの薬物療法、放射線治療などを組み合わせた「集学的治療」を行います。手術以外の治療はほぼすべて外来通院で行います。

 乳癌には様々なタイプがあり、夫々に応じた適切な治療を組み合わせて⾏います。天理よろづ相談所病院では20年以上前から乳腺外科医、放射線診断医、放射線治療医、形成外科医、病理診断医、細胞検査師、放射線科技師、臨床検査部技師など多職種で形成されるCancer boardを編成してすべての患者に対して診断や適切な治療⽅針を検討しています。治療成績は年々向上しており、全体としては10年⽣存率が90%程度に達しています。

 3位は線維腺腫や乳管内乳頭腫などの乳腺の良性腫瘍/良性病変に対する手術です。良性腫瘍出会っても乳頭分泌などの症状があったり、腫瘍が大きい場合や癌との鑑別が難しい場合には切除を行います。

 4位は悪性リンパ腫などリンパ節が腫大する疾患に対する腋窩リンパ節生検です。診断、治療法の決定のためにリンパ節を切除して検査を行います。

 5位は乳癌の脳転移に対する放射線治療のための入院です。脳転移ではふらつきや麻痺などのために外来通院が困難なことが多く、脳転移の場合には入院して放射線治療を受けていただきます。

 

 

救急診療科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等-手術なし-処置2なし 9 2.11 3.33 0.00 47.7
080270xxxx0xxx 食物アレルギー-処置1なし 2.44
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒)-処置2なし-副病なし 3.81
010140xxxxx0xx 筋疾患(その他)-処置2なし 12.23
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎-手術なし-処置2なし 20.51

 

 当院の救急外来は、一次救急(外来レベルで治療可能な症例)、二次救急(⼊院治療や⼿術が必要な症例)、三次救急(極めて専⾨的な治療が必要な症例(多発外傷・広範囲熱傷などの症例を除く))をすべて受け⼊れております。

 救急外来受診例のうち、⼊院が必要な症例の多くは、各専⾨科⼊院となりますが、感染症、薬物中毒の症例は救急診療科⼊院となる場合があります。最近は、該当診療科に入院する場合が多いため、救急診療科で担当する事例は減少しています。

 救急診療科⼊院で最も多いのはアナフィラキシーショック、食物アレルギーなどアレルギーに伴うものですが、これらは初期治療を行った後、症状再増悪の有無を確認するために短期間入院する事例が多く、ごく短期間の入院治療となっています。

 

 

初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
StageⅠ StageⅡ StageⅢ StageⅣ 不明
胃癌 141 13 52 33 35 82 1 8
大腸癌 41 33 41 34 7 49 2 9
乳癌 44 59 12 5 1 23 1 8
肺癌 166 27 93 183 39 336 1 8
肝癌 17 31 7 13 3 93 2 6

※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約

 胃癌は検診で発見されるものの多くがStageⅠであり、各病期中最多です。内視鏡手術で切除できるものが多いのも特徴です。

 大腸癌も検診発見例が多いですが、胃癌に比べると早期例が目立って多いわけではありません。胃癌と同様に内視鏡的切除手術の適応が拡大しています。

 乳癌は自己発見も容易なため、早期の段階で治療がなされています。 肺癌患者数はStageⅠとStageⅣに大きく分かれています。検診発見例はStegeⅠが多く、症状で発見例はStageⅣが多いためです。検診が重要な癌です。

 肝癌は初発例よりも再発例の方が際立って多いことが特徴です。これは、肝癌が慢性肝炎や肝硬変に合併して起こることが多く、このような肝臓は癌を発生しやすくなっているためです。治療しても別の個所に再発することが多いです。血管塞栓術や薬物注入など、より侵襲の少ない方法を用いて根気よく治療を続けます。

 

 

成人市中肺炎の重症度別患者数等

患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 17 8.24 62.00
中等症 62 14.23 75.89
重症 15 13.20 81.00
超重症 5 11.20 78.40
不明

 

 市中肺炎は中等症以上の患者さんが多く、かつ平均年齢が上がるほど重症度も上がります。これは市中肺炎の罹患率、死亡率の高齢化を反映しており、高齢化社会の重要な疾患です。当院では基礎疾患のある肺炎患者さんを数多く受け入れています。

 

 

脳梗塞の患者数等

発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 346 21.71 75.92 41.71%
その他 16 14.06 76.50 1.10%

 

 発症3日以内の急性期脳梗塞の患者さんが多数を占めています。脳卒中ケアユニットを開設し24時間体制で診療にあたります。脳梗塞発症からの経過時間が基準を満たせば血栓溶解療法や血栓回収術などの血管内手術を積極的に行います。これにより、症状の軽減、早期の復帰を目指しています。また、発症予防の血管内ステント留置も行います。

 

 

診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 

消化器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 154 1.21 6.43 1.30% 66.81
K6335 鼠径ヘルニア手術 80 1.00 3.03 0.00% 67.10
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 68 3.77 15.93 1.47% 72.75
K6112 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) 50 1.18 5.76 0.00% 67.40
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 50 0.16 4.52 0.00% 36.82

 

 胆嚢結石症は、胆石発作・急性胆管炎などで発症し、消化器外科や消化器内科で診断・緊急治療を受けた後、胆嚢摘出術を原則、腹腔鏡で行います。

 急性胆嚢炎は急性腹症の一つであり、胆管炎の併発などがなければ、原則、緊急で胆嚢摘出術を行っております。待機的な胆嚢摘出術と同様、多くの場合は腹腔鏡で胆嚢摘出を完了しますが、炎症が強い場合や周囲の癒着が強い時には開腹で摘出せざるを得ない場合があります。

 鼠経ヘルニアとは、足のつけね(鼠径部)に生じたいわゆる脱腸のことで、ヘルニアとは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態をいいます。鼠径ヘルニアは幼小児に多いと思われがちですが、高齢者にも多く発生し、手術以外に治療方法はありません。放置した場合、腸閉塞や腸管壊死を起こすリスクがあり、積極的に治療した方が良い病気です。全身麻酔下に腹腔鏡で修復する方法、脊椎麻酔や局所麻酔下に前方より修復する従来の方法があり、症例により選択しております。

 結腸癌・直腸癌を含めた大腸癌は早期癌・進行癌ともに年々増加しています。早期癌は消化器内科の治療適応になる場合もありますが、進行癌や内科的治療の適応外と判断された場合は手術を行います。ほとんどは腹腔鏡下で切除していますが、最近は直腸癌に対するロボット手術が保険適応となり、ロボット手術も増加傾向です。また、進行癌に対する術前・術後の化学療法も消化器外科で行い、手術を軸とした一貫した集学的治療を行っています。

 大腸癌、膵癌、胃癌に対して、ある特定の薬剤を用いた化学療法を行う際に、安定して静脈内投与を継続する点滴ルートが必要となることがあります。そういう患者さんに対しては消化器外科の入院管理のもと、放射線科に依頼して静脈ポート留置を行っております。

 虫垂炎は臨床症状、採血data、CTや腹部超音波などの画像診断で診断されます。発症から時間が経過し膿瘍形成しているため、切除にいった場合、大腸を切除しない可能性が高い場合などは、一旦、抗生剤治療を行い、待機的手術を後日行う方針となりますが、それ以外の症例の多くは、緊急手術となります。多くは腹腔鏡手術で行いますが、腹腔内の状況によっては開腹手術となります。

 

 

整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0821 人工関節置換術(膝) etc. 68 2.84 14.93 97.06% 73.93
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 54 4.82 22.44 40.74% 72.50
K0461 骨折観血的手術(大腿) etc. 36 2.42 19.28 69.44% 83.64
K1421 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(前方椎体固定) 23 1.74 18.44 26.09% 62.61
K0811 人工骨頭挿入術(股) 18 5.00 19.83 88.89% 79.61

 

 頚椎、腰椎など脊椎疾患に対する椎弓切除術、脊椎固定手術、変形性関節症など股関節、膝関節疾患に対する人工関節置換術、大腿骨骨折などに対する骨折観血手術を主に行っています。

 

 

形成外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 19 1.00 7.74 0.00% 75.63
K476-4 ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術(乳房切除後) 15 1.00 3.07 0.00% 57.87
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法)
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(肩) etc.
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満)

 

 当科では顔面骨・手外傷、体表・顔面先天異常、瘢痕、皮膚・軟部組織良悪性腫瘍、がんなどの手術後の再建、皮膚潰瘍、眼瞼下垂症など幅広く診療しています。症状、根治率、患者さんの希望を考慮して可能な限り侵襲性を少なくしながら、最大限の結果が得られるように手術を行っています。

 また再建術に際しては、機能と外観両方を正常な状態に近づけるように種々工夫をしています。眼瞼下垂症は挙筋前転法、皮膚眼輪筋切除、吊り上げ術を症例に応じて使い分けています。乳房再建はシリコンインプラント、筋皮弁術両者に対応していますが、インプラントが保険適用になって以来多くの患者さんがインプラントを希望されるようになり、インプラントによる再建が右肩上がりになっています。良性腫瘍、悪性腫瘍切除は根治と低侵襲を両立できるよう最大限の努力をしています。再建には各種皮弁、植皮など最も機能的、外観的に優れたものを選択しています。

 なお当科では自費での美容外科診療は行っておりません。

 

 

脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 47 0.36 4.83 12.77% 75.47
K178-4 経皮的脳血栓回収術 42 0.05 22.36 71.43% 78.05
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 21 3.24 11.81 14.29% 75.71
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 18 5.22 29.56 33.33% 64.78
K1781 脳血管内手術(1箇所) 18 1.28 18.50 22.22% 62.22

 

前述、診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)のとおりです。

 

 

呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) etc. 72 1.28 8.07 1.39% 69.18
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 50 1.12 4.18 0.00% 62.52
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) etc. 47 1.23 6.21 0.00% 70.96
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 19 3.05 4.95 5.26% 47.16
K488-4 胸腔鏡下試験切除術 11 1.27 3.00 0.00% 65.09

 

 最も多い手術術式は、胸腔鏡下で行う肺悪性腫瘍に対する肺葉切除術です。以下、肺悪性腫瘍に対する部分切除術および区域切除術が2番目、3番目と続きます。

 4番目に多い術式は、気胸を含む肺のう胞性疾患に対する胸腔鏡下部分切除術です。

 5番目に多い術式は、診断目的に行う胸腔内病変の生検術です。根治切除を目的に手術を行ったが、播種などにより生検に留めた肺癌症例も含まれます。

 

 

心臓血管外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 25 3.88 8.64 4.00% 76.92
K5551 弁置換術(1弁) 24 5.46 31.04 16.67% 67.21
K5602 大動脈瘤切除術(弓部) 20 3.15 60.20 35.00% 70.80
K5612イ ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 16 7.44 19.06 6.25% 74.06
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 15 5.80 29.47 6.67% 70.73

 

心臓血管外科におきまして最も多い症例は胸部および腹部大動脈瘤(真性および解離性)に対する手術であります(第1、3、4位)。解剖学的適応、年齢及び全身状態を考慮してステントグラフトによる血管内治療か開腹もしくは開胸による人工血管置換術を選択することとなります。

 この中でも、対象患者の超高齢化に伴い、大動脈瘤に対する開胸もしくは開腹手術が困難な症例が増加しており、低侵襲であるステントグラフトの需要が増えたものと考えられました。

 次に多い症例は手術を要する弁膜症となっております。前述の動脈瘤症例と同様に高齢者を中心として手術治療を必要とする弁膜症症例は増加傾向にあり、大動脈弁狭窄症においては生体弁による人工弁置換術を、僧帽弁閉鎖不全症においては僧帽弁形成術を行っております。

 最後に多い症例は狭心症・心筋梗塞に対する冠動脈バイパス手術であります。この術式においても低浸襲を基本とし全症例で心拍動下でのバイパス手術が可能となっており、手術適応患者の拡大につながっているものと考えられます。

 

 

産婦人科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 52 1.15 4.79 0.00 46.42
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 etc. 51 1.49 4.90 0.00 48.27
K879 子宮悪性腫瘍手術 32 3.97 13.22 0.00 60.47
K867 子宮頸部(腟部)切除術 24 1.08 1.04 0.00 42.75
K865-2 腹腔鏡下仙骨腟固定術 20 2.35 4.70 0.00 69.15

 

 婦人科手術のうち、良性腫瘍の⼿術では従来は開腹⼿術が⾏われてきましたが、近年ではその多くの症例が子宮腫瘍、卵巣腫瘍ともに腹腔鏡手術やロボット補助下の腹腔鏡手術(ダビンチ手術)で行われるようになっています。しかしながら、腹腔鏡手術には限界もあるため、安全性を考慮し一定数の症例には開腹手術が行われています。

 また、⼦宮頸がんの前がん病変の早期発見により⼦宮を温存した⼦宮頸部切除術が多く実施されています。

 また、子宮脱に関しては、より生理的に修復できる腹腔鏡下仙骨膣固定術を行うことが多くなっています。

 

 

眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 839 0.93 1.85 0.00% 74.59
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 281 1.01 6.21 0.00% 66.78
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 93 0.76 7.48 0.00 67.13
K2683 緑内障手術(濾過手術) 85 1.29 7.19 1.18% 72.05
K2682 緑内障手術(流出路再建術) 63 0.98 4.94 1.59% 75.63

 

 当科では白内障手術が最も多く、眼科全体でも最も多い手術となっています。白内障手術の相談に来られる患者さんが多く、日常生活に不自由を感じた時点で手術を行うことをお勧めしております。白内障手術は日帰りで行うか、短期入院で行うかしております。極小切開で手術を施行し、術後乱視を軽減しています。乱視矯正レンズや保険適応の分節型眼内レンズも取り扱っております。

 黄斑疾患への硝子体手術も多く施行しています。黄斑前膜、黄斑円孔、黄斑分離症、硝子体黄斑牽引症候群など様々な黄斑疾患に対して多く手術を施行しています。難治性の増殖糖尿病網膜症にも積極的に手術を行い治療しています。

 裂孔原性網膜剥離や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症などに伴う硝子体出血も多く手術を施行しています。硝子体手術は低侵襲硝子体手術(MIVS)で施行し、術後の早期視力回復を目指しています。

 緑内障手術も積極的に行っています。緑内障治療は点眼が中心ですが、点眼治療でも進行を抑えることができない時には緑内障手術が必要となります。繊維柱帯切開術や切除術(濾過手術)だけでなく、低侵襲緑内障手術(MIGS)も積極的に行っています。緑内障の進行度や眼圧により手術適応を決めています。

 

 

耳鼻咽喉科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術(片葉のみ) 54 1.22 5.50 0.00% 57.57
K4631 甲状腺悪性腫瘍手術(切除)(頸部外側区域郭清を伴わない) 43 1.19 5.67 0.00% 58.35
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 37 1.30 5.70 0.00% 26.27
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 35 0.94 5.97 0.00% 56.74
K3191 鼓室形成手術(耳小骨温存術) 33 1.27 5.46 0.00% 57.55

 

 甲状腺部分切除・甲状腺腫摘出術、甲状腺悪性腫瘍手術、内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型、鼓室形成術については前述、診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)のとおりです。

 咽頭・口腔領域では口蓋扁桃摘出術(アデノイド切除術)が最も多い手術であり、年間50~70件ほどの手術を行っています。当科では超音波メスなどのエナジーデバイスを用いて口蓋扁桃摘出術を施行しており、最近の平均手術時間15分程です。最新の手術支援機器の積極的な利用により手術時間が短縮され、低侵襲手術の実践が可能となっています。

 

 

放射線科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他) 14 1.00 3.79 0.00% 73.07
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術

 

 放射線科IVR部門単独での(カテーテル等を用いた)手術件数としては少ないですが、各診療科からの紹介に対応して、当科では人体各部位の血管塞栓術、血管拡張術、各種ドレナージ術、CVポートを始めとする各種留置術、多くの臓器の生検等を年間1000件以上、行っております。

 

 

脳神経内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) 11 26.73 41.09 45.45% 71.82
K6181 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(四肢)
K154-3 定位脳腫瘍生検術
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術)
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他)

 

 脳神経内科では、筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病などの神経難病患者さんで、進行期に経口食事摂取が困難になってきた場合、患者さん自身、ご家族とのインフォームドコンセントの上、必要時は当院消化器内科と協同して胃瘻造設を施行しております。

 

 

泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 207 1.51 2.61 0.00% 74.92
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いる) 99 2.12 8.99 0.00% 70.11
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 59 2.78 2.78 0.00% 64.97
K8411 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) 53 1.87 4.89 0.00% 76.40
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 37 2.78 9.81 2.70% 70.24

 

 前述、診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)のとおりです。

 

 

循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 262 1.81 3.89 1.15% 69.22
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 160 2.11 2.93 0.00% 71.96
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 83 3.11 6.07 2.41% 72.18
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他) 66 1.89 2.70 0.00% 61.98
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極) 66 4.35 8.91 6.06% 76.86

 

  • 狭⼼症経⽪的冠動脈ステント留置術施⾏(Kコード︓K5493)
    ⼼筋を養う冠動脈の内腔が狭くなって、⼼臓の筋⾁に⼗分な⾎液が流れなくなる病気を狭⼼症といいます。⼼臓に必要なだけの栄養と酸素が不⾜すると、⼼筋は正常に働けなくなります。この時に患者さんは胸が締め付けられるような痛みを感じます。これが狭⼼症の発作です。この流れが悪くなった冠動脈を内側から拡張し⾎流を改善する⽅法に冠動脈ステント留置術があります。ステントは拡張することができる網⽬状の⼩さな⾦属製の筒です。ステンレススチールやコバルト合⾦などの⾦属でできています。⼩さなバルーンに取り付けたステントを冠動脈内で拡張し動脈硬化で狭窄を⽣じた⾎管壁に押しつけて拡張し⾎流を回復します。狭⼼症に代表される虚⾎性⼼疾患の治療として確⽴した⽅法で、循環器内科でも多くの患者さんに治療を⾏っています。
  • ⼼房細動経⽪的カテーテル⼼筋焼灼術施⾏(Kコード︓K5951, K5952)
    正常な⼼臓は安静時には1秒間に約1回のペースで規則正しく収縮していますが、⼼房細動とはそんなリズミカルな拍動が失われる代表的な不整脈です。⼼房細動は⾼齢化とともに急速に増加している不整脈です。⾃覚症状として脈の乱れ、動悸、胸部不快があります。放置すると⼼臓の中に⾎栓ができて、脳梗塞などの⾎栓症の原因となります。最近では⼼房細動もカテーテル・アブレーションで治療可能となっています。⾼齢の⽅でも症状の強い場合は治療を⾏います。カテーテル・アブレーションは、カテーテルという管を⼼臓内に⼊れて、不整脈の原因となっている部分に通電を加えて焼灼する治療法で技術・器具の進歩もあり治療成績が向上しています。
  • 閉塞性動脈硬化症への四肢⾎管拡張術(Kコード︓K616)
    下肢を中⼼とする末梢動脈が動脈硬化のために細くなったり詰まったりしている病態が閉塞性動脈硬化症です。この⾎管の中に⾵船のついた管(バルーンカテーテル)を⼊れ、⾎管の狭窄や閉塞部でふくらませて、⾎管を拡張させる治療法が四肢⾎管拡張術です。
  • ペースメーカー移植術(Kコード︓K5972)
    現時点で徐脈性不整脈を安全かつ確実に治す内服薬はありません。ペースメーカーは⼼臓の筋⾁に電気刺激を与えることで、⽣体に必要な⼼収縮を発⽣させる医療機器です。弱ってしまった⼼臓の電気システムの⼀部を機械に代⽤してもらうペースメーカーが最も安全で確実な治療法となります。

 

 

腎透析科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 40 1.30 5.03 2.50% 69.03
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回)
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈)
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む)

 

前述、診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)のとおりです。

 

 

血液内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6112 抗悪性腫瘍剤動脈内持続注入用植込型カテーテル設置(四肢) etc. 10 9.90 8.90 0.00% 72.20
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植)
K154-3 定位脳腫瘍生検術
K0461 骨折観血的手術(大腿) etc.
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他)

 

 血液内科は、⾎液のがん(急性⽩⾎病、慢性⽩⾎病、⾻髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性⾻髄腫)、造⾎不全または難治性の貧⾎(再⽣不良性貧⾎、⾻髄異形成症候群の⼀部)、⾎⼩板減少症(特発性⾎⼩板減少性紫斑病)などの⾎液疾患の診療を担当します。治療が必要な場合、多くの場合で血管確保と呼ばれる点滴ラインを確保すること重要になります。これは造血器腫瘍(血液のがん)に対する抗がん剤投与の目的だけでなく、輸血、抗生剤、免疫抑制剤、栄養・水分補給等の多岐にわたる目的のために重要です。しかし、体格や高齢のため末梢血管からの点滴ラインの確保が困難な場合、埋込型カテーテルを設置し診療に当たっています。また、抗がん剤の長期・持続投与が必要な場合、血管外漏出が生じた時に副作用が重篤になるリスクのある場合、早い点滴速度で投与が必要な場合も埋込型カテーテルを設置し治療を行っています。

 

 

消化器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 149 0.44 1.21 0.00% 69.41
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜) 126 1.54 6.25 0.00% 72.37
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 87 4.43 8.13 3.45% 78.09
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみ) 72 0.43 6.66 4.26% 74.66
K654 内視鏡的消化管止血術 47 0.43 6.66 4.26% 74.66

 

 消化器内科で⾏っている⼿術は、体に傷をつけず、⼝や肛⾨からの内視鏡を⽤いて⾏う低侵襲治療です。腫瘍の切除、胆道狭窄に対するステント留置、消化管出⾎に対する⽌⾎など、いずれも過去には外科的⼿術が必要であった治療が、内視鏡を⽤いた負担の少ない⽅法で⾏えるようになっています。

 

 

乳腺外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 65 2.60 5.59 0.00% 63.28
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 33 2.46 6.97 0.00% 63.73
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 24 2.63 2.75 0.00% 61.83
K4741 乳腺腫瘍摘出術(長径5cm未満)
K6262 リンパ節摘出術(長径3cm以上)

 

 1-3位は乳癌に対する⼿術です。乳癌の手術では乳房をすべて切除する乳房切除術と、乳癌の周囲に少し「のりしろ」をつけて切除する乳房部分切除の2種類の手術があります。乳癌は腋窩リンパ節に転移を起こしうる疾患です。手術前の画像検査などで腋窩リンパ節転移が認められる場合には腋窩リンパ節郭清を追加し、リンパ節転移が認められ②場合には、センチネルリンパ節生検を行って、画像のみでなく病理学的にも転移がないことを確認します。

 4位は線維腺腫や乳管内乳頭腫などの乳腺の良性腫瘍/良性病変に対する手術です。良性腫瘍出会っても乳頭分泌などの症状があったり、腫瘍が大きい場合や癌との鑑別が難しい場合には切除を行います。

 5位は悪性リンパ腫などリンパ節が腫大する疾患に対する腋窩リンパ節生検です。診断、治療法の決定のためにリンパ節を切除して検査を行います。

 

 

その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる 2 0.01%
180010 敗血症 同一 43 0.29%
異なる 26 0.18%
180035 その他の真菌感染症 同一 10 0.07%
異なる 5 0.03%
180040 手術・処置等の合併症 同一 25 0.17%
異なる 14 0.10%

 

 医療資源を最も投入した傷病名が播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、その他の真菌症、手術・処置後の合併症にあたる症例数および全入院患者に対しての発生率を表しています。入院契機の「同一」は入院の最初から上記の傷病の治療目的での入院であった場合で、例えば敗血症性ショックで救急搬送されるような場合です。「異なる」は別の傷病に対しての治療目的であったが入院中に上記の傷病が発症したか入院時に併存していたため、その治療が主となった場合を表します。

 

 

更新履歴

2021.9.30
DPCデータに基づく「病院情報」を公表しました。
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