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臨床研究等に関する倫理委員会

概要

 手術や化学療法、検査など医療技術の質を評価する基準として、Donabedianは三つの尺度を挙げています。それは構造と過程、及び結果(アウトカム)です。交通事故の減少を例にして説明しますと、構造とは、交通信号が危険な交差点に適切に設置されているかなどを評価の基準とするものです。一方、過程とは、車や歩行者がどれだけ交通規則を守っているかとか、違反者をどれだけ厳しく取り締まっているかなどを評価の基準とします。一方アウトカムとは、交通信号が不備でも、また交通規則が守られなくても、結果的にみて交通事故が少ないほど、評価を高くするという基準です。
 かつては医療技術の評価にも構造や過程が用いられていましたが、現在ではアウトカムを評価の基準とすることが定着してきました。その理由は医療技術がどのようにして効果をもたらすか、その原因や機序を正確に把握することは一般に困難だからです。それがわからなくてもその医療技術を患者に用いたほうが、用いないよりも結果がよければ、用いるべきだというのがアウトカム基準の考え方です。いわば「結果よければすべてよし」です。但し条件があります。医療技術を用いた患者と、用いなかった患者では、それ以外の条件が同じでなければなりません。こうしてランダム化比較試験が医療技術の評価に重視されるようになりました。
 ただ人間を被験者として医療技術の効果を調べようとすると、被験者に色々と不利やリスクをもたらす恐れがあります。また同じ条件をもつ被験者は一卵性双生児を除けば存在せず、比較する群間に偏りが生じる恐れもあります。これらの問題がないか予め研究計画書をチェックするのが倫理委員会の役割です。よく誤解を生むのはこの名称です。倫理委員会といえば、その研究が倫理的観点からみて妥当かどうかを審査する会と思う人は少なくありません。そうではなく、倫理的観点と科学的観点の両面から調査審議すべきことは、厚生労働省と文部科学省の倫理指針にも明記されています。もう一つの誤解は、倫理委員会は医療機関の長の諮問機関であり、決定を下す機関ではありません。ただ医療機関から独立して、中立かつ公正な立場で審議を行えるよう様々の立場の委員から構成されています。委員会が特に留意するのは、社会の利益や科学の発展の名のもとに、被験者に皺寄せが及ぶことはないかです。

倫理委員会 規定

委員の構成

委員長 大野 仁嗣  医学研究所副所長
委員 庄司 和彦  副院長(兼)医療情報システムセンター長
田口 善夫  副院長(兼)呼吸器内科部長
奥村 和弘  副院長(兼)泌尿器科部長
阪井眞利子  副院長(兼)看護部長
森岡 正彦  事務長
山下  真  塩野山下法律事務所 弁護士(外部委員)
岡田 正彦  天理大学 教授 (外部委員)

 

業務の内容と特色

倫理委員会の審議は提出された研究計画書を基に行われます。
 研究計画書に記載すべき事項は、一般的に以下のようなものですが、研究の内容に応じて変わります。

  • 被験者の選定方針
  • 研究の意義、目的、方法、期間
  • 研究に参加することによって期待される利益と、起こりうる危険や不快な体験
  • 個人情報保護の方法
  • 研究機関の名称 ( 共同研究機関を含む。)
  • 研究者等の氏名
  • インフォームド・コンセントのための手続、インフォームド・コンセントを受けるための説明事項及び同意文書
  • 研究に伴う被験者の被害に対する補償等の対応
  • 当該研究に係る資金源、起こりうる利害の衝突及び研究者等の関連組織との関わり
  • 試料の保存及び使用方法並びに保存期間
  • 研究終了後の試料の保存、利用又は廃棄の方法

 もし計画書に明らかな不備のある場合は、審議の前に研究責任者に通知し、訂正を求めます。研究が介入を伴わない観察研究の場合には、持ち回り審議で済ませられる場合もあります。しかし介入を伴う研究であり、しかもそのリスクが無視できないと判断された場合や、そのほか必要とみなされる場合には、研究責任者等を交えて委員会で徹底した討議を行います。研究が倫理的にみて妥当であっても、科学的観点からみて問題があれば(例えばサンプルサイズ算定の根拠が不明の場合)その説明を求めます。こうして全倫理委員の承認を得るまで審議が続けられます。

実績

本委員会が審議した年間件数は下記の通りです。

年度 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016
件数 32 48 54 49 80 53 62 76 74

 

最近の話題

 癌治療法の進歩により、その効果も増強されてきましたが、それに伴い患者の負担する治療費も高騰し、患者と病院との間でトラブルが増加しています。そのため当倫理委員会では、患者への説明文の中に、治療によりどれだけの生存利得が得られ、またどれだけの医療費が要るかという情報を、患者のわかる言葉で誤解なく伝えることが急務であると考えるに至りました。その一例として、倫理委員会が審議したのは、「HER2陽性の原発性乳癌患者を対象とした補助化学療法としてのトラスツズマブの有用性を検討する観察研究」であります。もしこの治療を体重50kgの患者が3週間毎1年間続けた場合の薬価は、総投与量35バイアルで、約2400,000円となります。もしこれにより一部の乳癌が全治するのであれば、この治療法を受ける患者も多いと思います。一方、これが延命効果しかないとすれば、それに大金を使いたくないという患者もいるかもしれません。残念ながら現行の生存分析では、この「全治か延命か」という疑問に答えることはできず、何十年という追跡結果に待たねばなりません。

臨床研究情報

承認された臨床研究一覧(PDF)

以下の研究課題は、研究内容を公開しています

 「臨床研究等に関する倫理委員会」で承認を受けた研究課題のうち、以下の研究は、対象となる患者さんから直接同意をいただくことが困難なため、厚生労働省の「臨床研究に関する倫理指針」等の規定に従って、研究内容を当該部署のホームページ上に公開しております(研究課題をクリックするとリンクが開きます)。
 研究内容に関するお問い合わせは、各研究担当者までお願いいたします。

 

申請様式

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