卒後臨床研修センター
トピックス(2019.1.24)
ジュニアレジデント 城間京香先生 第222回日本内科学会近畿地方会若手奨励賞(初期研修医)最優秀賞 受賞
「ハプロタイプ半合致移植後レテルモビル(LTV)投与下で発症し,ホスカルネット(FCV)が奏効したヒトヘルペスウイルス6(HHV6)ウイルス血症の1例」
【症例】30代・男性・Tリンパ芽球性リンパ腫・白血病の第一寛解期に同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)を実施
- 移植片はハプロタイプ半合致ドナーの実妹から採取した末梢血造血幹細胞。前処置はフルダラビン30mg/m2×3daysと全身照射12Gyを6分割。
- GVHD予防はday 3-4にサイクロフォスファミド50mg/kg/day,day 5からタクロリムスとMMFを投与。
- ウイルス感染予防としてアシクロビルとLTVを投与。
- “Haplo-immunostorm syndrome”はday 6に消退し、day 17に好中球生着を確認。しかしday 22から発熱が続き、血球減少とフェリチン値の上昇を認めた。
- 皮膚症状、下痢、中枢神経症状は認めず、サイトメガロウイルス(CMV)抗原は陰性。急性GVHD、ウイルス再活性化による血球貪食症候群などを鑑別にあげたが、multiplex PCRによる網羅的ウイルスDNA検査(神戸医療産業都市推進機構細胞療法研究開発センター)でHHV6陽性(6.82×104 copy/ml)が判明。
- Day 26からFCVを投与したところ速やかに解熱し、血球数やフェリチン値もしだいに改善した。
【考察】
- 本症例はハプロタイプ半合致移植後に発症したHHV6ウイルス血症である。脳炎症状は認めなかった。CMV感染症がLTVで予防可能となったことから、HHV6ウイルス血症はallo-HSCTにおける最も留意すべきウイルス感染症の一つである。
- キーワード:HHV6ウイルス血症、ハプロタイプ半合致移植、ホスカルネット