平成29年度 天理よろづ相談所病院 病院指標 医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省) 年齢階級別退院患者数 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで) 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数 成人市中肺炎の重症度別患者数等 脳梗塞の患者数等 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで) その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率) 年齢階級別退院患者数 ファイルをダウンロード 年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 患者数 440 274 301 527 862 1,490 3,781 4,953 2,725 410 60歳以降の年代の方が多く、全体の7割を占めています。この年代の方々は複数の疾患を持っておられたり、重症化しやすいといった特徴があります。また、小児では先天性心疾患など慢性疾患が多いのが特徴です。 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで) ファイルをダウンロード 呼吸器内科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 040110xxxxx0xx 間質性肺炎 処置2なし 180 17.93 19.65 4.44 72.30 040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2_4あり 定義副傷病なし 174 11.59 11.99 0.57 69.31 040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1あり 処置2なし 146 3.73 3.59 0.00 71.04 040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 124 13.73 20.83 2.42 80.85 040040xx99000x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 55 12.13 14.60 12.73 72.55 呼吸器内科では悪性腫瘍の中でも頻度の高い肺癌に関しての入院が2位、3位、5位を占めております。肺癌の診断や治療には高度の専門的診療が必要であり、当院への紹介患者として最も多い疾患の一つであります。内容的に1位は当院の特徴である間質性肺炎があります。間質性肺炎もは肺胞壁に炎症をきたす疾患の総称であり、中でも原因不明とされる特発性間質性肺炎なかでも特発性肺線維症は予後不良で平均年齢は70歳代にある疾患です。これらの疾患に対して当院は奈良県では最も診療経験が豊富であり、他地域からの紹介も多い疾患です。2位は肺癌診断後の内科的治療の中心である化学療法のための入院です。また3位は肺癌診断のための入院であり、これによって治療方針が決定され、5位は肺癌に伴う様々な病状による入院となっております。 4位には高齢化社会を反映しての誤嚥性肺炎であります。再発も多く今後の高齢化に向けて更なる増加が予想される疾患でもあります。 循環器内科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 処置2なし 320 5.90 5.30 0.00 64.13 050050xx02000x 狭心症,慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 処置等1_なし,1,2あり 処置2なし 定義副傷病なし 253 7.00 4.62 0.00 70.55 050050xx99100x 狭心症,慢性虚血性心疾患 手術なし 処置等1_1あり 処置2なし 定義副傷病なし 180 3.60 3.03 0.00 70.47 050130xx99000x 心不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 147 19.97 17.71 12.93 83.29 050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 処置等1_なし,1,3あり 処置2なし 定義副傷病なし 78 11.96 11.21 1.28 77.36 生活様式の欧米化や高齢化にともない、動脈硬化性疾患(心血管系疾患,脳血管障害など)は増加しています。その中でも狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患や、心臓に生じるリズムの異常である不整脈が増えています。また高齢化社会到来に伴い心不全による入院も増加しています。当科では虚血性心疾患に対する冠動脈造影検査や冠動脈狭窄病変に対する経皮的冠動脈形成術、そして不整脈へのアブレーション治療を数多く行っています。それぞれについて簡単に説明します。 ①心房細動経皮的カテーテル心筋焼灼術施行 正常な心臓は安静時には1秒間に約1回のペースで規則正しく収縮していますが、心房細動とはそんなリズミカルな拍動が失われる代表的な不整脈です。心房細動は高齢化とともに急速に増加している不整脈です。自覚症状として脈の乱れ、動悸、胸部不快があります。放置すると心臓の中に血栓ができて、脳梗塞などの血栓症の原因となります。最近では心房細動もカテーテル・アブレーションで治療可能となっています。高齢の方でも症状の強い場合は治療を行います。カテーテル・アブレーションは、カテーテルという管を心臓内に入れて、不整脈の原因となっている部分に通電を加えて焼灼する治療法で技術・器具の進歩もあり治療成績が向上しています。 ②狭心症経皮的冠動脈ステント留置術施行 心筋を養う冠動脈の内腔が狭くなって、心臓の筋肉に十分な血液が流れなくなる病気を狭心症といいます。心臓に必要なだけの栄養と酸素が不足すると、心筋は正常に働けなくなります。この時に患者さんは胸が締め付けられるような痛みを感じます。これが狭心症の発作です。この流れが悪くなった冠動脈を内側から拡張し血流を改善する方法に冠動脈ステント留置術があります。ステントは拡張することができる網目状の小さな金属製の筒です。ステンレススチールやコバルト合金などの金属でできています。小さなバルーンに取り付けたステントを冠動脈内で拡張し動脈硬化で狭窄を生じた血管壁に押しつけて拡張し血流を回復します。狭心症に代表される虚血性心疾患の治療として確立した方法で、循環器内科でも多くの患者さんに治療を行っています。 ③狭心症心臓カテーテル法施行 狭心症は虚血性心疾患の代表です。虚血性心疾患の診断を正しく行い治療方針をたてるためには冠動脈の状態を正確に評価することが大切です。その方法が心臓カテーテル法です。冠動脈ステント留置術やバイパス手術の適応を判断するためには必須の検査法です。虚血性心疾患の増加にともない、この検査のための入院件数も増加しています。 ④心不全による入院への検査・治療 心不全は,心臓のポンプとしての働きが低下し,腎臓や肝臓を含めた主要な臓器に十分な血液を供給することができなくなり,また肺や全身に血液が滞る状態(うっ血)をいいます。心不全の主な原因としては、弁膜症や高血圧、心筋梗塞あるいは心筋症、不整脈といった疾患があります。心不全を悪化させないためには、原因を解明するための検査を行い、適切な治療や対策を早期に行うことが重要です。 ⑤ペースメーカー移植術 現時点で徐脈性不整脈を安全かつ確実に治す内服薬はありません。ペースメーカーは心臓の筋肉に電気刺激を与えることで、生体に必要な心収縮を発生させる医療機器です。弱ってしまった心臓の電気システムの一部を機械に代用してもらうペースメーカーが最も安全で確実な治療法となります。 消化器内科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石,胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 処置2なし 定義副傷病なし 199 9.47 10.61 1.51 74.33 060020xx04x0xx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃,十二指腸ポリープ・粘膜切除術 処置2なし 115 9.21 8.73 0.00 73.53 060050xx0300xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(一連として)等 処置1なし 処置2なし 75 6.87 8.43 2.67 74.99 060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) その他の手術あり 処置2なし 54 8.85 11.44 0.00 73.74 06007xxx99000x 膵臓,脾臓の腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 52 6.44 9.83 9.62 68.96 消化器内科で最も多い症例は1位の199件の総胆管結石・胆管炎で、適切な治療を行わないと短時間で致命的となり得る胆管の閉塞を、内視鏡を用いて結石を除去したり、胆管へのステントチューブ挿入をしたりして胆汁ドレナージを行うことで、低侵襲な治療を行っています。2位は早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)で、115件あります。この方法は病変周囲を切開し引き続き粘膜下層を剥離していく方法で、従来法では出来なかった 2cm 以上の病変でも、一括して切除することができる様になっています。外科的胃切除を行うことなしに胃切除と同等の治療効果が得られという意味で、患者さんには大きなメリットがあります。次に多いのは肝細胞がんを中心とする肝臓の悪性腫瘍です。当院では診断からラジオ波焼灼術(RFA)、放射線科専門医と共同で行う血管塞栓術(TAE, TACE)、外科的切除まで、毎週消化器内科、放射線科、消化器外科でカンファレンスを行い、複数の科が協力して最善の治療を選択することができる様にしています。ラジオ波焼灼療法が75件、放射線科医と共同で血管塞栓治療が54件あります。 この他にも多くの疾患がありますが、基本的にはあらゆる消化器疾患に対応できるスタッフと設備を備えています。なお消化器内科が扱う疾患は発熱を伴う腹痛・黄疸や、消化管出血など、緊急性の高いものも多いため、時間外にも対応できる体制を整えています。 血液内科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2_4あり 定義副傷病なし 89 11.55 16.48 1.12 68.72 130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 処置2_2あり 58 41.03 40.97 1.72 54.22 130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 処置2_4あり 定義副傷病なし 49 33.06 33.42 0.00 63.80 130030xx99x30x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2_3あり 定義副傷病なし 44 8.02 17.04 0.00 66.93 130030xx99x50x 非ホジキンリンパ腫 手術なし 処置2_5あり 定義副傷病なし 19 8.05 13.89 0.00 65.89 血液内科は、血液のがん(急性白血病、慢性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫)、造血不全または難治性の貧血(再生不良性貧血、骨髄異形成症候群の一部)、血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病)などの血液疾患の診療を担当します。血液のがんは「造血器腫瘍」ともよばれ、抗がん剤を用いた化学療法が奏功します。最も多い疾患は悪性リンパ腫です。悪性リンパ腫は、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分類され、後者はさらにB細胞性とT細胞性に分類されます。一方、低悪性度・中悪性度・高悪性度の3段階に分類したり、リンパ臓器に発生する「節性」とリンパ臓器以外に発生する「節外性」に分類したりします。これらの分類と、ポジトロンエミッショントモグラフィーを用いた病期診断に基づいて治療法を決定します。最も頻度の高い中悪性度B細胞性リンパ腫に対する標準的な化学療法はR-CHOP療法(リツキシマブ、シクロフォスファミド、アドリアマイシン、オンコビン、プレドニンの5剤の併用療法)です。本法の第1サイクルは入院で実施しますが、第2サイクル以降は外来化学療法室で実施します。ご高齢の患者さんには投与量を減量します。高悪性度リンパ腫には多剤を短期間に集中投与する治療法を実施します。再発・難治性や高リスクの患者さんには、自家造血幹細胞移植を併用した高用量化学療法を実施します。 次に頻度の高い疾患は急性白血病です。急性白血病は骨髄性白血病とリンパ性白血病に分類されますが、成人では前者が大半です。近年では、骨髄異形成症候群から進展するタイプや、過去の抗がん剤治療や放射線治療が原因で発症する治療関連白血病が増えています。急性白血病の治療は、寛解導入療法と地固め療法によって白血病細胞を根絶することを目標にします。治療によって寛解状態に至れば、造血は回復し、日常生活・社会生活に支障をきたすことはありません。治療期間中はクリーンルームに収容し、感染症管理・治療などの補助療法を合わせて実施します。再発リスクの高い患者さんや、第2寛解期の患者さんに対しては、同種造血幹細胞移植を実施します。ドナーは血縁者、非血縁者、臍帯血から選択します。同種造血幹細胞移植は、血液内科医師だけでなく、全身放射線照射を担当する放射線科医師・技師、日々の看護業務を担当する看護師、免疫抑制剤や抗生物質の調整を担当する薬剤師、血液検査や造血幹細胞の保存を担当する検査技師の協力がなければ成り立ちません。当院では、造血幹細胞移植治療にかかわる医療者と定期的なカンファレンスを行い、質の高い医療を実践することを常に全員が心がけています。 多発性骨髄腫は、免疫グロブリンを産生する形質細胞ががん化した疾患で、貧血、骨病変、腎障害、高カルシウム血症などの多彩な症状をきたします。近年、本疾患に対する新薬が次々に開発されました。初発の患者さんには、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメサゾンの3剤を組み合わせた治療法を選択します。65歳以下の患者さんには自家造血幹細胞移植を併用して高用量のメルファランを投与します。再発・難治性の患者さんにも有効な薬剤が承認されています。これらの治療によって、多発性骨髄腫の治療成績は著しく向上しています。 神経内科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 75 10.45 18.66 6.67 72.16 010060×2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内,かつ,JCS10未満) 手術なし 処置1なし 処置2_4あり 定義副傷病なし 発症前Rankin Scale 0,1又は2 56 19.70 16.38 37.50 68.52 040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 39 33.36 20.83 33.33 78.77 010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 処置2_4あり 定義副傷病なし 32 24.31 16.95 6.25 61.81 010060×2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内,かつ,JCS10未満) 手術なし 処置1なし 処置2_2あり 定義副傷病なし 発症前Rankin Scale 0,1又は2 28 20.00 16.51 42.86 73.29 脳神経内科では,迅速な対応が必要な急性期脳卒中(主として脳梗塞)から,在宅医療との緊密な連携が必要な神経難病まで,広範な領域の神経疾患を担当しています.入院疾病では,急性期脳梗塞,パーキンソン病,誤嚥性肺炎,神経感染症が上位を占めています.救急受入の増加に伴い,t-PA血栓溶解療法や血栓回収療法といった超急性期治療が必要な脳梗塞,てんかん重積発作,脳炎,髄膜炎といった神経感染症が増えています.神経難病のパーキンソン病では,正確な診断,症状変動期の薬剤調整,合併症の治療などのために入院いただいています。 内分泌内科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 100070xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)(末梢循環不全なし) 手術なし 処置2_1あり 定義副傷病なし 85歳未満 69 15.45 14.27 1.45 62.97 100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症,非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 46 4.37 5.76 0.00 56.35 100070xx99x000 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)(末梢循環不全なし) 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 85歳未満 30 10.40 11.16 0.00 63.03 100071xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)(末梢循環不全あり) 手術なし 処置2_1あり 定義副傷病なし 85歳未満 18 17.50 14.63 0.00 65.83 100070xx99x110 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く)(末梢循環不全なし) 手術なし 処置2_1あり 定義副傷病あり 85歳未満 12 19.58 15.87 0.00 60.00 内分泌内科の専門領域は糖尿病や脂質異常、そして甲状腺をはじめとする内分泌臓器の機能異常などを含む内分泌・代謝疾患です。生活習慣病や慢性疾患に類する疾患が中心であることから外来診療が中心となります。入院症例の大多数を占めるのは,2型そして1型糖尿病の血糖コントロールや合併症治療(糖尿病ケトアシドーシス、高血糖高浸透圧症候群、感染症)、そしてインスリンポンプを含む種々のインスリン治療の導入や調整を目的とした入院です.この中には,外科系診療科の術前コントロールあるいは化学療法等で使用するステロイドホルモンによる高血糖に対する治療も含まれます.1~2週間の入院中に,糖尿病療養指導士(CDE)の資格をもったスタッフを中心に糖尿病自己管理教育と療養指導が行われます.最近は、高血圧の原因として副腎腫瘍による原発性アルドステロン症の位置づけが大きくなっており、副腎機能評価や静脈サンプリングを含めたパス入院が増えています。 小児科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 040100xxxxx00x 喘息 処置2なし 定義副傷病なし 41 6.02 6.32 0.00 2.59 040090xxxxxx0x 急性気管支炎,急性細気管支炎,下気道感染症(その他) 定義副傷病なし 38 5.89 5.94 0.00 1.29 140010x199x00x 妊娠期間短縮,低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 30 4.23 6.18 0.00 0.00 040070xxxxx0xx インフルエンザ,ウイルス性肺炎 処置2なし 25 6.04 6.03 0.00 2.00 0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 24 5.67 5.70 0.00 2.33 当院小児科は、「子どもの総合医」として一般小児科診療を主体に、神経疾患、循環器疾患(小児循環器科として担当)、代謝内分泌疾患、アレルギー疾患などの専門診療を行っております。一般小児科診療においては、対象となる疾患の多くは市中感染症で、中でも気道感染症が多数を占めます。そのうち上気道炎(いわゆる風邪)は軽症であることが多く外来で対応可能ですが、肺炎や気管支炎、細気管支炎といった下気道炎/下気道感染においては、感染・炎症が重篤化したり呼吸障害を来すことも多く、しばしば入院が必要となります。今年度には、RSウイルス感染が重篤化し、人工呼吸管理やnasal high flow使用を要する患者さんもおられました。 一方、気管支喘息発作も多くは気道感染を契機とし、呼吸障害を来して入院します。中には下気道感染症と合併したり、両者の区別が困難な患者さんもおられます。このような状況を反映し、当科入院患者の第1位、2位が下気道感染及び気管支喘息で占めらているものと考えられます。 当科入院患者の第3位は新生児の疾患で、呼吸障害や低血糖、黄疸などを含みます。当院出生の新生児がほとんどですが、在胎35週程度、体重2kg弱の赤ちゃんも積極的に受け入れており、状況により院外出生の赤ちゃんも受け入れています。 今回第4位にインフルエンザが入りましたが、流行性疾患ですので流行りの年にはやはり重症度によっては入院して頂く場合もございます。 小児循環器センター DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 050070xx99000x 頻脈性不整脈 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし – – 7.71 – – 14031xx19910xx 先天性心疾患(動脈管開存症,心房中隔欠損症を除く)(1歳未満) 手術なし 処置1あり 処置2なし – – 4.52 – – 14031xx09910xx 先天性心疾患(動脈管開存症,心房中隔欠損症を除く)(1歳以上) 手術なし 処置1あり 処置2なし – – 4.32 – – 150070x0xx1xxx 川崎病(2歳以上) 処置1あり – – 3.92 – – 050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 処置2なし – – 5.30 – – 当院小児循環器科は、開院以来小児循環器疾患全般を診療対象としております。先天性心疾患については出生直後の患者さんを含め診療対象としていますが、近年患者さんの術後経過は総じて良好で、心不全など循環動態の問題による入院は減り、手術前あるいは術後の心臓カテーテル検査の症例が入院の主体になっています。一方様々の後天性心疾患の診療にも当たっておりますが、最も多い疾患は川崎病です。川崎病の急性期治療は小児科が担当し、退院後の診療及び後遺症に対する治療を小児循環器科が担当しております。近年全国的に川崎病の発症数は増加しており当院での症例も増えておりますが、それにより一定数の心臓カテーテル検査を要する症例が出てまいります。こうした状況を反映し、1歳未満を含む先天性心疾患および川崎病に対する心臓カテーテル検査入院が当科入院の1〜4位を占めております。 また当科では、適応・必要のある症例に対し積極的に心臓カテーテル治療を行なっています。今年度は術前術後を問わず、血管や弁の狭窄に対するバルーン拡大術や異常かつ不要な血管(体肺動脈側副血行路など)に対するコイルなどの塞栓用デバイスを用いた塞栓術を施行したほか、幼児の未手術動脈管(小短絡)に対するコイル塞栓術を行いました。 皮膚科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 080011xx99xxxx 急性膿皮症 手術なし 34 10.82 11.73 0.00 58.50 080020xxxxxxxx 帯状疱疹 19 8.37 8.95 0.00 62.74 080190xxxxxxxx 脱毛症 – – 3.60 – – 080050xxxxxxxx 湿疹,皮膚炎群 – – 10.50 – – 161060xx99x0xx 詳細不明の損傷等 手術なし 処置2なし – – 4.01 – – ①蜂巣炎、丹毒などの細菌性皮膚軟部組織感染症の入院患者の患部は下肢に多く、また基礎疾患として、糖尿病、静脈うっ滞、肥満が多い。入院では患肢挙上安静とともに局所処置を行う。抗生物質はその選択を現盈にし、いたずらに広範囲スペクトラムの薬剤は使用せずβラクタム系抗生物質の使用を主に行う。血液培養を行い耐性菌が検出された場合は迅速に適応薬剤に変更する。約1〜2週間の入院になる場合が多い。 ②帯状疱疹。近年の新規抗ウイルス薬の効果は高く帯状疱疹は基本的に外来で内服薬や外用薬で加療できる。しかし免疫不全や糖尿病などの基礎疾患があるばあいや、顔面など整容的に問題のある部位に生じた帯状疱疹については、約1週間の入院加療を行っている。 ③円形脱毛患者は当科には多く受診する。この疾患患者も基本的には外来通院で加療するが、全頭型や急速進行する場合は、入院にてステロイドパルス療法を行っている。多くは1泊2日の入院である。 ④アトピー性皮膚炎が6件、全身湿疹が1件、⑤全身性の薬疹による入院が6件でした。 消化器外科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 64 6.59 6.64 0.00 60.48 060020xx02x0xx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 処置2なし 59 15.36 17.27 0.00 70.73 060035xx01000x 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除,亜全切除又は悪性腫瘍手術等 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 58 14.41 15.61 0.00 72.50 060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 39 8.64 8.98 0.00 72.31 060335xx02000x 胆嚢水腫,胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 36 7.53 7.40 0.00 67.17 胆嚢結石症は、胆石発作・急性胆嚢炎・急性胆管炎で発症し、消化器外科や消化器内科で診断・緊急治療を受けた後、手術を行います。炎症が軽微な時は腹腔鏡を用いて胆嚢を摘出しますが、胆嚢の炎症が強い場合や周囲の癒着が強い時には開腹で摘出せざるをえない場合があります。 結腸癌・直腸癌を含めた大腸癌は早期癌・進行癌ともに年々増加しています。早期癌は消化器内科の治療適応になる場合もありますが、進行癌や内科的治療の適応外と判断された場合は手術を行います。ほとんどが腹腔鏡下で切除していますが、腫瘍が大きい場合には術前化学療法で縮小させてから切除することも多いです。進行癌に対する術前・術後の化学療法も消化器外科で行っています。 胃癌は早期の場合、消化器内科で行うESDと消化器外科で行う腹腔鏡手術の適応が問題になりますが、当院では毎週内科・外科でカンファレンスをおこない、胃癌治療のガイドラインに基づいて適切な治療方針を決めています。適応があれば積極的に腹腔鏡を用いて低侵襲な手術を心がけており、ロボットを用いた手術も行っております。進行癌に対する術前・術後の化学療法も消化器外科で行っています。鼠経ヘルニアとは、足のつけね(鼠径部)に生じたいわゆる脱腸のことで、「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置からはみ出した状態をいいます。鼠径ヘルニアは幼小児に多いと思われがちですが、高齢者にも多く発生し、手術以外に治療方法はありません。痛みが少なく短期入院ですむ新しい手術方法が普及してきており、積極的に治療した方が良い病気です。 呼吸器外科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍 手術あり 処置2なし 191 8.01 12.35 0.00 71.14 040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 処置2なし 定義副傷病なし 24 6.50 10.04 4.17 44.29 040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2_4あり 定義副傷病なし 13 10.62 11.99 0.00 68.62 040040xx99000x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 定義副傷病なし 13 11.00 14.60 15.38 74.23 040020xx97xxxx 縦隔の良性腫瘍 手術あり – – 8.94 – – 呼吸器外科ではDPC分類の最も多い症例は肺悪性腫瘍の手術となっています。肺悪性腫瘍のうち、原発性肺癌手術に関しては、術前検査にて進行度を見極めた上で、病期I、II期を絶対的適応としますが、縦隔リンパ節転移陽性等のIII期進行肺癌症例に対しては、呼吸器内科、放射線科とも連携して、化学療法や放射線療法を併用した集学的治療も行っています。転移性肺腫瘍に関しては、原則とし原発病巣がコントロールされかつ他臓器に転移がなく、肺転移病巣が数箇所以内で完全切除が可能な場合に手術を行います。切除方法は部分切除が原則です。2番目に多い症例は気胸です。気胸とは肺の表面に穴が開いて、肺が縮んでしまう病気です。肺に基礎疾患を有していない特発性気胸と、基礎疾患を有する続発性気胸に分類されます。原則的に安静や脱気・ドレナージ治療後の再発症例を対象に手術を行っていますが、両側同時発症や反対側の気胸の既往がある場合などは、初回発症でも手術を行います。殆どの症例で小切開による胸腔鏡下手術が行われています。3番目に多い症例は、肺癌術前の導入化学療法、肺癌術後の補助化学療法もしくは再発に対する化学療法です。化学療法は呼吸器内科医が主に行っていますが、症例により呼吸器外科医も同様に行っています。4番目に多い症例は、肺悪性腫瘍に対し手術も化学療法も行わない症例です。これらの中には、終末期医療も含まれます。 脳神経外科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 010040x099x00x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 処置2なし 定義副傷病なし 72 20.68 19.10 55.56 66.76 010030xx9910xx 未破裂脳動脈瘤 手術なし 処置1あり 処置2なし 53 2.92 3.14 0.00 65.06 010060×2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内,かつ,JCS10未満) 手術なし 処置1なし 処置2_4あり 定義副傷病なし 発症前Rankin Scale 0,1又は2 34 12.06 16.38 20.59 68.53 010070xx9910xx 脳血管障害 手術なし 処置1あり 処置2なし 30 3.20 3.25 0.00 69.20 160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 処置2なし 定義副傷病なし 26 5.23 9.68 19.23 73.00 脳神経外科で取り扱う疾患には、くも膜下出血、脳梗塞、脳内出血に代表される脳血管障害、脳腫瘍、頭部外傷、脊髄疾患、さらには、癲癇、顔面けいれん、抹消神経障害などの機能脳神経疾患などがあります。近年、食生活の欧米化、急速な高齢化に伴い、脳血管障害の占める割合が多くなってきています。当院では、上記の脳神経外科疾患を幅広く取り扱っていますが、救急車の受け入れを積極的に行っていることもあり、脳血管障害の症例が最も多いのが現状です。 頻度順1位の非外傷性頭 蓋内血腫(脳出血)保存的治療症例は、血圧管理や脳保護薬の投与を行い、機能予後の改善をめざします。視床出血が高い割合を占めていました。ステント留置術や血栓内膜剥離術を、適応を判断して行い脳梗塞発症予防に努めています。頻度順2位の脳動脈瘤は、くも膜下出血の原因となる疾患で、顕微鏡下開頭術(ネッククリッピング術と血管内手術(コイル塞栓術)の両方を、症例に応じて最適の治療ができるように適応を判断して行っています。頻度順3位、4位は、脳梗塞症例で、超急性期における血栓回収療法の施行例が増加しています。保存的治療としては、脳保護薬や血流改善薬の投与を施行しています。また、テント留置術や血栓内膜剥離術を、適応を判断して行い脳梗塞再発予防に努めています。頻度第5位の頭蓋内損傷に対しては、症例に応じて、穿頭手術を施行しています。 心臓血管外科 DPCコード DPC名称 患者数 平均在院日数(自院) 平均在院日数(全国) 転院率 平均年齢 患者用パス 050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む) ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 処置1なし 処置2_1あり 定義副傷病なし 47 20.60 23.93 2.13 70.68 050163xx03x10x 非破裂性大動脈瘤,腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 処置2_1あり 定義副傷病なし 45 12.11 16.80 2.22 76.36 050163xx02x1xx 非破裂性大動脈瘤,腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む) 腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの)等 処置2_1あり 18 24.06 21.40 5.56 67.94 050161xx97x10x 解離性大動脈瘤 その他の手術あり 処置2_1あり 定義副傷病なし 17 31.59 28.04 17.65 68.00 050163xx01x10x 非破裂性大動脈瘤,腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む) 上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術等 処置2_1あり 定義副傷病なし 12 27.50 28.38 8.33 73.25