消化器外科
診療内容
消化器がん
食道がん
食道がんの治療には抗がん剤や放射線治療、手術などいくつかの治療法があります。当院では初診時におこなった検査の結果を内科・外科・放射線科合同でおこなうカンファレンスで検討し、食道がん診療ガイドラインや日本臨床腫瘍研究グループの臨床研究の結果を踏まえ、もっとも適切な治療法の組み合わせを患者さんにおすすめしています。
手術
食道がんの手術では、首から胸、お腹にいたるまで取り除く範囲が広く、患者さんへの負担も大きくなります。当科では少しでも侵襲を少なくし、合併症が減少するように、術前から禁煙指導や呼吸リハビリを徹底し、術前治療の有無に関わらず胸腔鏡や腹腔鏡を用いた手術(内視鏡手術)を原則としておこなうよう努めています。
データ
平成21年には7名の患者さんに内視鏡手術をおこなっています。術後合併症は肺炎1名、反回神経麻痺1名であり、術後在院日数は19日(中央値)となっています。
胃がん
初診時におこなう諸検査の後、消化器内科、放射線科、消化器外科の合同カンファレンスで治療前の癌の病状を把握し、胃癌治療ガイドラインに沿ってそれぞれの患者さんに適した治療方針を決定しています。
手術
早期胃癌には根治性を確保した上で低侵襲を目指し、胃全摘を含めた腹腔鏡下手術を行っています。また進行胃癌には開腹により十分なリンパ節郭清を行っています。特に再発の可能性が高くなるStageⅢ以上が疑われる患者さんに対しては術前化学療法を積極的に行い、その後に手術を行う方針をとっています。
データ
当院では年間約200症例の胃癌治療をおこなっています。そのうち外科での手術による治療は約140症例、内科での内視鏡による治療は約60症例です。
大腸がん
治療方針の決定は毎週おこなう消化器内科・放射線科とのカンファレンスでおこない、大腸がん診療ガイドラインに則した治療をおこなっています。
抗癌剤治療
病気の進行度によっては外来化学療法室での抗癌剤治療を積極的におこなっています。術後は外来診察室での定期的な検査による再発の早期発見・早期治療を心がけており、大腸癌の術後成績(再発率・生存率)は他施設のデータと比較しても遜色ありません。
手術
当院では、年間約150例(結腸がん約100症例、直腸がん約50症例)の大腸癌手術を行っています。術式は患者さんへの侵襲の軽い腹腔鏡手術が主であり全体の約80%を占めています。
肝臓疾患
肝臓がん、胆嚢のう、胆管がんや転移性肝がんなどの悪性腫瘍と肝内結石などの良性疾患が肝切除の対象となります。これらの疾患の治療は手術以外にも様々な方法があり、私たちは内科や放射線科と共同で治療をおこなっています。
手術
手術は診療ガイドラインに基づいた治療を標準としており、年間約30例の手術をおこなっています。肝切除は創も大きく、身体への負担も大きくなります。そこで最近は腹腔鏡を用いた肝切除を積極的に導入し、身体への負担をできるだけ軽くする工夫をおこなっています。
膵臓疾患
膵臓がんや胆管がんなどの悪性腫瘍や良性腫瘍に対する膵手術は年間25症例です。これらの疾患の中で治療もそれぞれの診療ガイドラインに基づいておこなっています。がんは手術では十分な成績が得られませんので、退院後早急に化学療法をおこなうことにしています。
がん以外の外科的治療を要する疾患
当科では、消化器がんの診療以外にも胆のう結石症、ヘルニア(脱腸)、肛門疾患(痔核:いぼ痔、痔ろう、裂肛など)などの外科治療も多数行っています。胆のう摘出術についても積極的に腹腔鏡で行っています。
腹部救急疾患
急性虫垂炎、胆のう炎、腸閉塞などの緊急疾患に関しても対応しており、年間約300件の緊急手術症例をこなしています。